平成30年度からの新しい専門医制度が開始され、皆さんはその6年目になります。
新しい専門研修はプログラム制といって、研修の中心になる基幹施設のプログラムを皆さんが選んで研修することになります。それぞれのプログラムにおいては、基幹施設と複数の連携施設が病院群を形成して3年間の研修プログラムをつくり、実際の研修を行うことになっています。
岡山地区においては、内科専門医を除く大半の領域は岡山大学が基幹施設になっています。当院においても、内科領域のみが基幹施設となって専攻医を独自に募集いたしますが、他の領域は岡山大学のプログラムの連携施設として研修を担当しています。
以下、岡山赤十字病院における専門研修について、いくつかの基本領域について具体的に紹介したいと思います。
当院の内科専門医研修は、基幹病院として独自のプログラムを持つとともに、岡山大学病院、岡山医療センター、倉敷中央病院、川崎医科大学附属病院等の連携施設として他院のプログラムにも参加しています。
基幹施設である岡山赤十字病院と岡山県内の連携施設、特別連携施設で病院群を形成し内科専門医研修を実施します。研修体制を確立し、誰でも無理なく必要な経験目標を達成できる環境を整備します。また、シーリングのかかっていない周辺県の基幹施設を連携施設として加えます。
2年間の初期研修が終了した医師が対象です。プログラムは1本ですが、その研修対象者や研修期間の違いによって、3つのコースを想定しています。
一般コースは、基幹病院での研修を主体とした通常の後期研修であり最低3年間で終了することを想定しています。
地域コースは、主に自治医大卒業生や地域枠卒業生を対象としたコースでこのコースにおいては、県内の連携施設あるいは特別連携施設での研修ウエイトが大きくなることを想定しています。
研修期間も一般コースよりは長くなり、4~5年は必要と予想されます。
連携プログラムコースは、基幹病院と連携病院(非シーリング県)でそれぞれ1年半研修を行います。研修期間は原則3年で、専攻医1年目の前半を当院で、1年目後半から2年目は連携病院(非シーリング県)で、3年目は当院に戻って研修を行います。
どのコースにおいても、施設ごとの研修期間は基幹施設で最低でも1年間、また連携施設あるいは特別連携施設においても最低でも1年間は研修を行うことを想定しています。
連携施設としては、高次機能・専門病院である岡山大学病院、地域中核病院である県内外の13病院と岡山県にある地域密着型病院の18施設が含まれています。このうち7病院は以前から当院の初期臨床研修の地域医療研修の協力施設です。また、自治医科大学卒業生の派遣先5病院が全て含まれています。
岡山県全域において、専攻医の皆さんの様々な要望に添えるように計画してあります。
1学年8名を予定しています。
この人数は、当院の初期研修医1学年の定員15名のうち、内科領域に進むと予想される人員を想定したものです。
一般コースは基本的には、主たる研修期間を基幹施設において研修するコースであり、3年間での修了をめざします。ただし、専門研修2年目以降に、最低1年間を連携施設あるいは特別連携施設で研修を行います。
また、将来の専攻領域としてのsubspeciality研修について、3年間のうち最長2年間までは認められています。
岡山赤十字病院の内科部門は、入院病棟や専門分野を考慮して以下の6グループに分けます。
(1) 総合内科、糖尿病・内分泌内科、血液内科(4南病棟)
(2) 呼吸器内科(5南病棟)
(3) 膠原病・リウマチ内科、腎臓内科(6南病棟)
(4) 消化器内科、肝臓内科(7南病棟)
(5) 循環器内科(3西病棟)
(6) 脳神経内科、脳卒中科
原則的には、最初の2年間(卒後3年目、4年目)は、3~4か月単位で複数部門を研修し必要な症例を網羅できるように配慮します。
救急診療については、内科系救急当直、日直を月4回程度実施します。CCU当直は、循環器内科の研修中に経験します。また、院内で開催されるJMECCに参加します。
外来診察は、週1回曜日を決めて新患患者を中心とした外来診療を行います。また、臨床研究・治験センターでの学術的な活動に参加します。毎年一回は内科学会中国地方会などでの学会発表を行い、論文投稿を経験します。研修計画の1例を示します。
総合・糖尿・血液(4) | 循環器(4) | 神経・卒中(4) |
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連携施設A(6) | 連携施設B(6) |
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消化器・肝臓(4) | 呼吸器(4) | 腎臓・膠原病(4) |
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このコースは、自治医科大学卒業生あるいは岡山県地域枠の研修医を対象として想定したものです。岡山県の地域医療に支障がないように、連携施設あるいは特別連携施設での研修期間が長くなると予想されます。無理なく研修を行うためには、3年間修了ではなく4年間あるいは5年間は必要と思われます。また、十分な経験目標を達成するためには2年間程度は基幹施設での研修が必要ではないかと考えられます。研修計画の1例を示します。
このプログラムでは専攻医1年目の前半を当院で、引き続いて後半から2年目は連携病院(非シーリング県)で、3年目は当院に戻って研修を行います。
本プログラムに対応可能な連携施設は、姫路赤十字病院、福山市民病院、国立病院機構岩国医療センター、愛媛県立中央病院、香川県立中央病院、高知医療センターを想定していますが、シーリングの設定によっては対象から外れる施設も生じます。
岡山赤十字病院での令和3年の年間入院患者件数は以下のとおりです。13領域の全てにおいて十分な症例数を有しています。
研修医の給与は、研修期間に応じて所属施設の基準に従い支給されます。研修期間が3か月を超える場合は所属の連携施設あるいは特別連携施設から支給し、3か月以下の場合は基幹施設から支給する予定です。
岡山赤十字病院の処遇は以下のとおりです。
総合内科では開放病床へ紹介入院する種々の内科疾患を経験できます。専門分野としては、糖尿病診療を中心として他の生活習慣病も含めて、その合併症の評価および管理、患者教育、インスリン治療を含む各種薬剤の理解が深まります。
消化器疾患全般の診断、治療に携わり、上部・下部消化管内視鏡、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)、EUS-FNA(超音波内視鏡下吸引生検)のほか、早期癌に対するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、EMR(内視鏡的粘膜除去術)、胆管結石や胆管癌・膵癌に対するERBD(胆管ドレナージ)、EIS(食道静脈瘤硬化療法)などの治療内視鏡、消化器癌に対する化学療法(抗癌剤)など幅広く技術習得の機会を得ることができます。
B型・C型肝炎、肝硬変、肝細胞癌、自己免疫性肝炎、脂肪肝など肝疾患全般の診断と治療を行っています。特に腹部超音波(エコー)の指導を重視しています。また腹部CT、MRIの読影、RFA(経皮的ラジオ焼灼療法)、TACE(肝動脈塞栓療法)、B-RTO(胃静脈瘤バルーン閉塞下逆行性塞栓術)他各種IVRなど、肝疾患診療に必要な技術習得を目標とした研修を行います。
当院呼吸器内科の特色は,肺癌を中心とした臨床腫瘍学、喘息を中心としたアレルギー、呼吸器感染症、びまん性肺疾患など多岐にわたる呼吸器疾患を広く守備範囲としていること、呼吸器救急医療に積極的に取り組んでいることなど基幹施設としての機能を果たしていることです。胸部X線、CTなどの画像診断、内視鏡のトレーニングにも力をいれています。
当院は急性期疾患を中心とした循環器内科診療を行っています。内科専門医取得に必須の10疾患群は、2か月程度で研修可能と考えています。なるべく短い期間で10疾患群を経験できるように、様々な指導医とペアになり担当してもらいます。当科に専攻を決めている場合は、早い時期から特にカテーテル検査治療の手技取得を目指し、CCU当直業務にも携わります。他領域の内科に専攻を決めている場合は、本人の希望も十分考慮しつつ並行研修も対応可能ですし、CCU当直業務ではなく内科当直業務に携わります。
糖尿病および糖尿病合併症に対する生活指導と検査・治療について研修できます。糖尿病教育入院・治療のための入院を担当し、指導医とともに診療にあたります。内分泌疾患は、主に甲状腺外来の見学をし、疾患の理解を深めてもらうようにしています。
脳・神経系の諸症状である頭痛・しびれ・歩行障害・ふるえ・意識障害・けいれん・認知症など、急性期・慢性期それぞれに、日常的に遭遇しやすい神経症状に対して、
疾患では、パーキンソン病、てんかん、髄膜炎、末梢神経障害(ギランバレー症候群その他)、アルツハイマー病あるいは内科疾患に伴う脳神経障害などを経験していただき、神経内科専門医の取得に必要な研修が可能です。
膠原病は全身疾患であり、当科での研修により内科医として臓器に偏らない診療技術を身につける事が可能です。その中で膠原病・リウマチ領域において最新のEBMに基づく医療の実践ができるようになる事を第一目標とします。ACGME (米国卒後医学教育認可評議会)基準に準拠した「岡山赤十字病院 膠原病リウマチ内科研修カリキュラム」に沿って研修指導を行います。希望者は国内だけでなく国際学会での学会発表を目標に支援する事も可能です。当科では新薬の臨床試験依頼も多く、多くが海外と同時進行のものであり、“EBMを創造する側”として、医療の最先端を肌で感じる事ができます。また、当院は日本リウマチ学会認定教育施設であり、専門医取得まで責任を持って指導します。
血液悪性腫瘍の診断と治療に関する研修が可能です。悪性リンパ腫及び急性白血病は症例数が多く多彩な病状を示すため、広く内科領域全般にわたる知織と診断能力、判断力が必要とされます。血液悪性疾患に対する化学療法の基礎と実践を中心に、難治性貧血、血小板減少症、凝固検査異常の診断と治療についても経験を積むことが可能です。学会発表と論文作成を積極的に推奨しており、その作業をサポートします。がん診療を中心に良識と責任感のある血液腫瘍内科医の育成を目指します。
腎疾患の治療は、循環動態の管理、感染症への対応、膠原病・血管炎の治療等、幅広く内科全般を理解してゆくことが必要です。また、慢性糸球体腎炎、急性腎障害、慢性腎臓病、透析導入、透析管理、各種アフェレーシス療法(血漿交換療法等)、電解質異常などの診断・治療をマスターするために、血液尿検査、血液ガス検査等の検討、腎生検・腎病理所見の評価、透析療法の実際(周産期透析、緊急透析、血液透析導入)等、症例を通して身に着けてゆくことが必要です。当科では、急性期から慢性期疾患まで幅広く腎疾患を診療し研修することができます。
平成30年度からの新専門医制度による外科専門研修は基幹施設を中心とした病院群によるプログラム制となり、当院での外科研修開始を希望する場合は原則として「岡山大学広域外科専門研修プログラム」に専攻医として登録することが必要となります。
「岡山大学広域外科専門研修プログラム」では、基本的に3年間の専門研修のうち基幹病院(本プログラムでは岡山大学病院)で6か月、連携施設で2年6か月の研修を行います。当院では連携施設A群として後期研修医1年目と2年目の2年間(卒後3年目と4年目)にわたり、一般外科/消化器外科/呼吸器外科/乳腺・内分泌外科/心臓血管外科/救急など幅広い分野での外科研修を行います。
当院での2年間での外科専門研修中の目標経験症例は400例以上(術者120例以上)としています。
上部消化管外科、下部消化管外科、肝胆膵外科、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科、心臓血管外科を指導医の下で研修します。それぞれの分野の手術を主治医かつ術者として担当することを目標とします。急性虫垂炎、鼠径ヘルニア、胆石症、外傷、気胸など、基本的な疾患はその時の研修分野に拘わらず主治医となってできるだけ執刀医として研修します。また、月約3回救命救急センターの当直があり、救急医療の研修を行います。
原則として、2年目には1年目に担当しなかった分野の研修を行い、2年間で上部消化管外科、下部消化管外科、肝胆膵外科、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科、心臓血管外科全ての分野の研修を指導医の下でおこないます。それぞれの分野の手術を主治医かつ術者として担当することを目標とします。急性虫垂炎、鼠径ヘルニア、胆石症、外傷、気胸など、基本的な疾患はその時の研修分野に拘わらず主治医となってできるだけ執刀医として研修します。また、月約3回救命救急センターの当直があり、救急医療の研修を行います。
外科では、専攻医(後期研修医)を募集しています。
志望専攻科に関係なく、外科医を目指す若手医師を、広く募集します。
見学、研修についての質問、ご要望などには、随時積極的に応じておりますので、ご遠慮なくご連絡ください。
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当科は岡山大学病院小児科医専攻研修プログラムの研修連携施設です。当科での研修の目標は、初期研修で習得した一般小児科の知識、技能および医療人としての態度をさらに深め、一般小児科専門医として通用する診療能力を身につけることを目指しています。一次から三次までの救急医療が病院の大きな仕事ですが、決して無理な労働を強制するわけではありません。3年間の研修を続けていくための自己健康管理ができることが必須です。「和気あいあい」が小児科のモットーで、医師だけでなく他職種のスタッフと仲良くやっていける人材を求めています。
入院患者については、指導医のもとに副主治医として研修します。外来患者については、1年目は救急外来および予防接種外来を、2年目以降はさらに一般外来を週1〜2回担当します。3年間の研修期間に、指導医だけでなく各専門領域の医師より専門検査や特殊処置技術の習得が可能です。NICUおよび救命救急センターの業務として月平均5回の日当直に従事することになります。当直明けは午後から帰宅できます。
また、国際学会を含む各種学会への参加を積極的に推奨・援助しています。
一般整形外科臨床医としての知識と技術を獲得し、日本整形外科学会専門医を取得する資格を得ることを目標にしています。このプログラム終了時にはsubspecialityについても研修ができるレベルを目指します。
当院は岡山大学整形外科研修プログラムの連携研修施設となっています。
当院の年間手術件数は岡山大学関連病院のなかではトップクラスです。救急外傷を中心として、Subspecialityに対する専門性の高い疾患(脊椎、上肢、手、下肢、リウマチ、スポーツ、リハビリ)など整形外科のほとんどの疾患に対応しています。
岡山大学を基幹研修施設として、香川労災病院、かがわ総合リハビリテーションセンター、雲南市立病院、笠岡第一病院、竜操整形外科病院と連携しながら、様々な領域の疾患を経験できます。
脳神経外科手術のできる医師になることを目指します。脳神経外科手術の技術は一朝一夕では習得できません。後期研修3年間は手術をしていく上で重要となる足腰を鍛える時期です。この3年間を無駄なく有効に研修を受けることが将来の術者として羽ばたくための必須条件ともいえると思います。
当科の手術件数は、現在年間150件を越えております。内容としては脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳腫瘍(良性、悪性)、機能外科(微小血管減圧術)、頭部外傷、血管再建術等幅広い範囲となっております。当科には現在2人の指導医がおりますが、研修の3年間は特に特定の指導医に付かず研修を行っていくことになります、すなわち2人が指導医であり、全手術例に加わってもらうことになります。基本的にできるであろうと思われることは指導医の監督のもと、1年目からでも執刀医をやってもらうこともあります。当院は三次救急病院で必然的に救急対応をしていかねばなりません。麻酔科医、救急医にレベルの高い救急対応、全身管理を学ぶことも可能です。
さらに脳血管内治療外科もあり、脳血管手術のトレーニングも可能となり研修の幅がかなり広がるものと考えられます。
将来レベルの高い脳神経外科術者を目指している方、どうぞ当科の門をたたいてください。かならず満足のいく研修をしていただけると思います。
術前、術中、術後の一貫した麻酔管理を行うことのできるPerioperative Physicianとして、ICU診療、救急医療を行うことのできるCritical Care Physicianとして、さらに急性期の痛みから癌性疼痛を含む慢性痛の治療を行うことのできるPain Clinicianとして、麻酔・ICU・救急医療・ペインクリニックのすべての分野で活躍できる可能性を持った麻酔科医を育てることが専門研修の目的です。
麻酔科専門研修では、岡山大学病院麻酔科専門医研修プログラム(基幹施設都道府県:岡山県、基幹施設:岡山大学病院、研修期間4年間)に登録した上で、日本専門医機構麻酔科専門医取得を目指します。麻酔科専門医受験に必須の経験症例数(心臓25例、小児25例、帝王切開10例、分離肺換気25例、脳神経外科25例)は当院のみで習得することが可能ですが、4年間の研修期間のうち最低6ヶ月間は基幹施設である岡山大学において研修を行うことが必須となっています。また当院及び岡山大学病院以外の研修施設での研修を行うことも可能です。4年間のうちいつどのくらい外部の病院で研修を行うかについては、個人の希望をお聞きした上で、プログラム基幹施設と連携して柔軟に対応が可能ですので遠慮なくご相談ください。なお専門研修にあたっては岡山大学麻酔科への入局は必須ではありません。
岡山赤十字病院(4年間のうち6ヶ月間は岡山大学病院)
上記病院以外での岡山大学病院研修プログラム研修施設での研修も可能
括弧内は当院での身分を示す
年間約3000件の麻酔を術前から術後管理まで、10床の救命救急センターICUを麻酔科医が管理するSemi closed ICU(年間入室患者数1549名、うち救命救急入院患者453名;2022年度)として、救命救急センターにおける重症救急患者診療を、そしてペインクリニック外来と入院患者診療を麻酔科医14人のスタッフで行っています。専門研修プログラムでは、これらすべての診療分野にわたって指導医とともに診療を行い、EBMに基づいた診断・診療技術の獲得を目指します。診療分野については、個人の希望や将来の進路を勘案して調整します。
平成30年度から岡山県救急科領域専門医研修プログラムに連携研修施設として参加しています。