令和7年4月より院長を拝命しております實金健と申します。ひとことご挨拶を申し上げます。
岡山赤十字病院は、1927年に日本赤十字社岡山支部療院として岡山市北区丸の内の地に発足し、1985年に現在の岡山市北区青江へ新築移転し、再来年の2027年には創立100周年を迎えます。この長い歴史の中で、地域に寄り添い信頼をいただきながら発展してきた病院です。
当院の理念は、「信頼され親しまれる病院に」を基本に、「手をつなぐ温もり~地域とともに~」、「愛と心がかよう医療を皆さまに提供します」というものです。これらの理念を実現するには、地域において適切な医療を速やかに患者さんに提供するのみならず、患者さんにわかりやすく説明をし、寄り添い、不安を少しでも取り除くことが必要です。患者さんとそのご家族や地域の病院や診療所の先生方、また当院で働くすべての職員にも「信頼、親しみ、優しさ、温かさ、明るさ、安心、育てる心、見守る心」を感じていただける病院(当院では、母親のような存在として、地域の中心的役割を担う「母なる病院」、すなわち「マザー・ホスピタル」と呼んでいます)となることを目標としています。
当院は、がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患などの5疾病をはじめとする多くの疾患に対する急性期医療はもとより、救命救急センターにおける救急医療、赤十字が得意とする災害時医療、周産期医療、小児医療、へき地医療支援、新興感染症等への対策の6事業についても積極的に取り組んでいます。とりわけ災害医療に関しては、岡山県基幹災害拠点病院として、2018年の西日本豪雨や2024年の能登半島地震では救護班や本部要員を迅速に派遣するなど、地域の災害医療の中心的役割を担っています。
さらに、地域において医療機能の分担と連携を図り、良質かつ適切な医療を効率的に提供するために、地域連携パスを普及させ、IT化を進め地域の病院やかかりつけ医の先生方との情報共有を推進しています。いわゆる「下り搬送」(当院では、連携施設および患者さんに敬意を表して「適正転院」という言葉で表現しています)を積極的に行い、急性期から始まる地域医療連携の充実に努めています。また、マイナ保険証の活用や電子処方箋の導入等、医療DXの推進にも積極的に取り組んでいます。
当院はこれまで、時代の変化に応じ、地域のニーズに応えるべく施設整備に努めてきました。2014年には独立棟の「緩和ケア病棟」を開設し、患者さんとご家族が望む場所で大切な時間をその人らしく過ごせる体制を作りました。2015年には新病棟「南館」を竣工し、「外来化学療法センター」、「放射線治療室」、「周産期母子医療センター」などを整備し、本館から210床の病室を移設して個室も増床しました。2023年には本館を一部改修し患者サポートセンターを新設し、また救急外来を改修・拡張し、より多くの救急患者に対応できるようにしました。手術室では手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」やO-armイメージングシステムも導入し、より高度かつ低侵襲の手術が可能となりました。
当院は次世代を担う人材育成にも力を入れています。付設の看護専門学校では、1935年の開設以来2500名を超える看護師を養成してきました。また、臨床研修指定病院として2007年からこれまでに230名の臨床研修医を受け入れて、医師の育成に努めてきました。良い医療人を育てるための、教育、研修もさらに充実させていきます。
今後も岡山県南東部の地域医療を支える中核病院として、近隣の医療機関との連携強化をしつつ、救急医療・災害医療を含む診療体制のさらなる充実や人材育成にも取り組み、当院の理念である「信頼され親しまれる病院」であり続けられるよう、職員一同、励んでまいります。今後とも変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。