吉富誠二 森川希実 辻尚志 辻󠄀尚志 原享子
当乳腺外科は、種々の乳腺疾患(乳がん、良性疾患など)に幅広く対応し、患者さんに納得してもらいながら質の高い医療を受けていただくことを目標としております。そのため、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、ソーシャルワーカー、などがチームを組んで診療にあたっております。
患者さんのQOLを考慮したわかりやすい治療(手術、薬物療法、放射線療法)を心がけ、年間約110例の乳腺手術、30例の甲状腺手術を行っています。
毎週火・水・木・金曜日に乳腺外来を行っています。
当院は2名の女性乳腺専門医が在職しており、女性の医師希望も承ります。
当院では、主として放射線診断科、放射線治療科、病理診断科、形成外科、緩和ケア科、認定看護部門などと緊密に連携し、より正確な診断、より高度な治療を行うために乳腺センターを開設しています。
形成外科の全面的な協力により、乳がん治療と同時にインプラントのみならず自家組織での乳房再建が可能です。
基本的にはガイドラインに基づいた診療を行っていますが、必ずしもガイドラインにとらわれず患者さんの状況・事情に応じて一緒に考え相談し、診断・治療を行っています。
施設認定
エストロゲンは乳腺細胞の増殖を促進して、細胞が発がん物質の影響を受けやすい状態をつくります。また、がん化した細胞が発育するためにはエストロゲンが必要です。
大部分の状況においてはエストロゲンは女性にとって非常に大切なホルモンですが、こと乳がんという病気においてはエストロゲンは乳がんの味方をします。
日本人女性の9人に1人が乳がんに罹患しており、がんの中で最も多くなっています。
食事と健康
好き嫌い無くバランス良く何でも食べることが健康の秘訣です。
ただし全体のカロリーに注意して食べ過ぎで太らないようにしましょう。
健康食品や、健康によいと言われているものを偏って食べるのが最も健康に悪いようです。
ある疾患に罹りやすい要因。
またはある疾患の罹り易さに影響していると思われる因子。
乳がんのリスクファクター
未婚・未産、初産年齢30歳以上、初潮年齢11才以下、閉経年齢55歳以上、肥満、乳がんの家族歴、反対側の乳房に乳がんの既往。
(リスクファクターがあると全員乳がんに罹るわけではありません。他の人よりわずかに罹患率が高くなる程度です。自己検診をしっかり行い、定期検診をきちんと受けましょう。)
しこりとして発見されることが大部分ですが、時として乳頭からの異常分泌や乳頭のただれ、乳房のくぼみなどで発見されることもあります。 基本的には痛みはありませんが、たまたま痛みがきっかけで発見されることもあります。
視触診と乳房撮影(マンモグラフィー)、超音波検査を行い、疑いのつよい場合には針による細胞検査(穿刺細胞診)や組織検査(針生検査)を行います。
胸筋温存乳房切除術(胸の筋肉は切除せず、乳房とわきのリンパ節を切除)
乳房温存手術(乳房は残してがんの周囲を広く切除し、わきのリンパ節を切除)
乳房内の広範な拡がりを示すなど乳房全切除せざるを得ない乳がん症例では、形成外科と協力して乳房再建術に積極的に取り組んでいます。
2018~2023年の間で、54例に自家組織での同時乳房再建術を行いました。
患者側からの要望も増えており、乳房再建術を受けた方からは概ね良好な評価を得ています。
「人工物破損の心配をしたくない」
「自然な形の乳房がよい」
「自然なやわらかさを求めたい」
このような方には、自家組織での再建がおすすめです。
昔は手術で切除したあとにさらに放射線をあてていたため腕のむくみが頻発していましたが、現在では必ずしも必要でないことが判明しています。 今は、手術で切除しきれていない場所や切除していない場所(残存乳房・切除してい ないわきのリンパ節など)に必要な場合のみあてていますので、むくみなどの副作用はすくなくなっています。
乳がんは抗がん剤が比較的効きやすい疾患です。
ホルモン感受性のある乳がんにはホルモン療法が有効です。
手術後に抗がん剤やホルモン療法を加えることによって再発率を低 下させることが可能となります(術後補助療法)。
※抗がん剤の治療は外来に月に1~2度通院していただき、設備を整えた専用の治療室で実施しています。
乳がんの術前化学療法(NAC)と術後化学療法では、転移・再発を防ぐ効果には明らかな差がないことが分かっています。NACは転移・再発を防ぐことに加え、手術を行うことが困難な進行乳がんを手術できるようにしたり、腫瘤が大きいために乳房部分切除が困難な乳がんを小さくして乳房部分切除ができるようにする効果があり、当院でも積極的に行っています。
また、NACによる病理学的完全奏効(がんが完全に消失、pCR)が予後良好の予測因子となり得ることから、早期乳がんにも適応が拡がっています。
NACでpCRに至らなかった場合には術後に治療を追加したり、別の治療を選択することがあります。
70歳代、女性 左乳がん(HR陰性、HER2陽性)
(T3N1M0、病期IIIA)
NAC終了時の画像検査では左乳房原発巣と腋窩リンパ節転移はほぼ消失した。手術標本でもがん細胞の残存はなかった(pCR)。
NACに使用する薬剤はアンスラサイクリン系薬剤やタキサン系薬剤などで、HER2陽性乳がんでは抗HER2薬を併用します。治療期間は6か月で、その後に手術を施行します。2018年1月から2022年11月までに当科では45例にNACを実施しました。NACを完遂できたのは41例(91%)、pCRと判定した症例は11例(24%)でした。ホルモンはこれまで転移・再発もなく経過しています。
再発予防のために必要な場合は薬の治療を続けます。
定期検診をちゃんと受けて再発は早く見つけるようにしましょう( 自己検診も必要です)。
必要以上に生活の制限はありません。
ただし手術を受けた方の腕は
肩関節のリハビリをしっかりしましょう。
「無理せず、休まず、少しずつ」
ゴルフ・テニス・水泳なども1~2ヶ月後からはOKです。
クヨクヨせずに前向きに生きましょう。
「再発を心配して家にこもっているよりは、できるだけ以前と同じように積極的に生活する」ことが大切です。
甲状腺がんはそのほとんどが分化がんであり、がんの中で最もおとなしく、悪性度の低いがんです。それゆえに甲状腺がんと診断されても恐れることはありません。適切な治療、管理を受けることによって命を縮めることなく日常生活を普通に送ることが可能です。以下に甲状腺がんの種類や診断、治療について紹介します。
甲状腺がんの約85~90%が乳頭がんです。分化がんであり、悪性度の低いがんです。頚部のリンパ節に転移することが多く、手術の際、甲状腺の腫瘍を取り除くだけでなく、頚部のリンパ節も切除します。ただ、がんの進行が遅いことが多く、最初にリンパ節を切除しなくても定期的に診察し、リンパ節が腫れて転移が明らかになった時点でそのリンパ節を切除することでも手遅れにならず治すことができると考えられています。
甲状腺がんの約10%が濾胞がんです。乳頭がんと同様に分化がんであり、悪性度の低いがんです。頚部のリンパ節に転移することは比較的少なく、そのかわりに乳頭がんより他臓器(肺など)に転移する確率が高いです。手術前に診断することが比較的難しく、手術後、病理検査(顕微鏡検査)で濾胞がんと診断されることもあります。
甲状腺がんの約1~2%で稀ながんです。その約1/3は遺伝性で副腎や副甲状腺などに病変を伴うことがあり、今後は遺伝子診断が重要になると考えられています。遺伝性の髄様がんでは原則的には甲状腺全摘(甲状腺をすべて切除)と頚部リンパ節切除が必要になります。
甲状腺がんの約1%で非常に稀ではあるが、他の甲状腺がんと異なり極めて悪性度が高く、手術、放射線治療、抗がん剤などを組み合わせて治療を行うが、治すことがとても難しいがんです。
甲状腺がんの診断には超音波検査が役に立ちます。超音波検査は無侵襲で手軽に繰り返し行うことができ、主に甲状腺がんの大きさ、甲状腺外への浸潤の有無、リンパ節転移の有無などを調べることができます。その他の検査としてはCT、MRI、核医学検査などがあり、必要に応じて超音波検査と組み合わせて行います。以上の画像診断で甲状腺がんが疑われる場合には、次に細胞診を行います。これは細い針を皮膚の上から腫瘍まで刺して細胞を吸引採取する方法です。これによって甲状腺がんの診断を行いますが、分化がんでは良性、悪性の鑑別が難しい場合もあり、特に濾胞がんでは手術前に診断することができないこともあります。
甲状腺がんの治療は一部の未分化がん以外では外科手術が有効です。甲状腺全摘(甲状腺をすべて切除)と頚部リンパ節切除を行う手術方法から甲状腺部分切除(がんを含む甲状腺を部分的に切除)のみを行う手術方法まであり、がんの種類、大きさ、個数、リンパ節転移の有無、他臓器への転移の有無などから適切な手術を選んで行います。すなわち、がんが小さく、リンパ節や他臓器に転移を認めないものは部分切除を行い、がんが甲状腺全体に拡がっていたり、他臓器に転移している場合には全摘を行い、手術後の放射性ヨード治療ができるようにするなどです。また近年、がんの大きさが1cm以下の甲状腺がん(微小がんと呼びます)は性質がおとなしく、生涯にわたりがんの進行がほとんど見られない場合もあり、手術を行わず、経過を定期的にみることもあります。
今回紹介しましたように、甲状腺がんの約97%は分化がんであり、低悪性で最も治ることが期待できるがんです。とはいっても適切な治療、管理があってはじめて可能になりますので、自分だけで判断せずに外来受診してください。
乳がんや卵巣がんの5-10%は、遺伝的な要因が強く関与して発症していると考えられています。その中で最も多くの割合を占めるのが、HBOCです。HBOCは、BRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子の生殖細胞系列の病的な変異が原因で乳がんや卵巣がんを高いリスクで発症する遺伝性腫瘍の1つです。一般の方が、乳がんに生涯罹患する可能性は約9%ですが、HBOCの方では40~90%といわれています。
HBOCを臨床所見から確定診断することはできませんが、乳がんの若年発症や、両方の乳房にがんを発症する、片方の乳房に複数回がんを発症する、乳がんだけでなく卵巣がんも発症するなどが、HBOCを疑うべき臨床的な特徴です。また、複数の乳がんや卵巣がんの家族歴が見られることもHBOCを疑う特徴となります。
HBOCは親から子へ、性別に関係なく50%(1/2)の確率で受け継がれます。乳がんを発症し、遺伝子検査でHBOCと診断された場合には、手術術式および術後検査などに十分に配慮することで、より有効な治療や術後フォローアップを受けることが可能となります。また、乳がんや卵巣がん発症前の予防的切除も可能です。
BRCA1/2遺伝子の病的変異を持つ家系で、乳がん、卵巣がんを、まだ発症していない家族に遺伝子検査をすることで、効果的な対策を立てることもできます。
外科では専攻医(後期研修医)を募集しています。
志望専攻科に関係なく、外科医を目指す若手医師を、広く募集します。
見学、研修についての質問、ご要望などには、随時積極的に応じておりますので、ご遠慮なくご連絡ください。
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平成7年卒業
平成24年卒業
岡山大学医学部 昭和54年卒業 医学博士
岡山大学医学部医学科臨床教授
昭和56年卒業
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辻󠄀 尚志 | 原 享子 | 吉富 誠二 |
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辻󠄀 尚志(奇数週) | 吉富 誠二 | |||
吉富 誠二 | 原 享子 | |||
森川 希実 | 森川 希実 |
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丸山 昌伸(下部消化管)※予約のみ | 高木 章司(上部消化管) | 池田 英二(下部消化管) | 池田 英二(下部消化管) | 松村 年久(上部消化管) |
杭瀬 崇(肝・胆・膵) | 山野 寿久(肝・胆・膵) | 赤井 正明(上部消化管) | 高木 章司(上部消化管) | 熊野 健二郎(下部消化管) |
山野 寿久(肝・胆・膵) | ||||
丸山 昌伸(下部消化管) |
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黒﨑 毅史 | 黒﨑 毅史 |
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中西 浩之 | 中西 浩之 | 中西 浩之(午前・再診のみ) |
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中西 浩之 | 三谷 英信 |
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手術 | 手術 | 手術 | 手術 |