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形成外科

杉山成史 勝部璃子 尾峪寿明

診療科紹介

診療科について

形成外科とは、病気やケガ、先天異常などによる組織の変形や欠損に対し、専門的な技術を用いて見た目と機能の改善を図る診療科です。幅広く、さまざまなケガや病気の治療を行っています。

当院は地域がん拠点病院であり、皮膚科と連携して皮膚悪性腫瘍の治療を行っています。また、乳腺外科と連携して乳癌に対する乳房再建も行っています。乳房再建は、自家組織再建にも人工物再建にも対応しています。

当院は3次救急病院として、救命救急センターがあります。形成外科では顔のケガの治療を行っています。また、外傷センターが併設されていて、開放骨折などの重度四肢外傷に対する治療を整形外科と協力しながら行っています

主な疾患と治療法

  • 皮膚のケガ
    • 切り傷、擦り傷、皮膚欠損創、やけどなど

傷を早くきれいに治すことを心がけています。
切創(切り傷)は、傷跡が目立ちにくいように真皮埋没縫合を行います。擦過創(擦り傷)や皮膚欠損創はきれいに洗浄し、軟膏や創傷被覆材を用いて治療します。皮膚欠損の範囲が広い場合には、皮膚移植などの手術が必要です。熱傷(やけど)は、浅い場合には軟膏や創傷被覆材で治療しますが、深い場合には皮膚移植などの手術が必要です。広範囲の熱傷では命に関わる危険もあり、集中治療が必要です。救急科や麻酔科と連携して治療を行います。

  • 傷跡、ケロイド
    • 瘢痕拘縮、肥厚性瘢痕、ケロイドなど

瘢痕拘縮(傷跡のひきつれ)により関節などの動きが障害されることがあります。Z形成術やW形成術という方法で、傷跡のひきつれを解除し、傷跡を目立ちにくくします。
ケロイドや肥厚性瘢痕は、軟膏やテープなどの外用剤による治療を中心とし、注射や飲み薬の治療もおこなっています。場合によっては、手術を行うこともあります。

  • 顔のケガ
    • 顔の骨折(頬骨、上顎骨、下顎骨、鼻骨、眼窩など)、涙小管損傷、顔面神経損傷など

顔は見た目も大切な部位ですので、特に整容性には配慮して治療を行っています。
顔の骨はいくつもの骨が組み合わさって出来ています。形も複雑で、眼・鼻・口などの重要な器官と密接に関わっています。顔の骨折では見た目の変形だけでなく、様々な症状が現れます。

鼻骨骨折

鼻の変形が主な症状ですが、鼻の通りにも影響することがあります。通常は局所麻酔の日帰りで治療を行います。麻酔薬を浸したガーゼを鼻に詰めて30分くらい待ち、麻酔が効いたところで鼻に器具を挿入してずれた骨を元に戻します。そして、鼻にガーゼを詰めて、外側からギプスを当てて固定します。鼻のガーゼは数日間、ギプスは1〜2週間行います。小児などでは全身麻酔で行うこともありますが、入院が必要です。

頰骨骨折

ほお骨の骨折です。顔の変形、頬のしびれ、口が開けにくいなどの症状があります。骨のずれ具合や症状の程度によって、手術の必要性を判断します。
手術では、傷跡が目立たないように口の中やまぶたの縁などを切ります。ずれた骨を元の位置に戻し、チタン製のプレートとスクリューで固定します。吸収性のプレートやスクリューを使用することもあります。

上顎骨折

咬合(噛み合わせ)のずれが問題になります。その他、顔の変形、頬のしびれ、口が開けにくいなどの症状が出ることがあります。
手術では、傷跡が目立たないように口の中やまぶたの縁などを切ります。ずれた骨を元の位置に戻し、チタン製のプレートとスクリューで固定します。噛み合わせを合わせるため、上下の歯茎に矯正装具を装着し、術後数週間矯正治療を行うこともあります。噛み合わせに関しては、歯科と協力しながら治療を行います。

下顎骨折

咬合(噛み合わせ)のずれが問題になります。その他、顔の変形、顎のしびれ、口が開けにくいなどの症状が出ることがあります。
手術では、傷跡が目立たないよう口の中などを切ります。ずれた骨を元の位置に戻し、チタン製のプレートとスクリューで固定します。噛み合わせを合わせるため、上下の歯茎に矯正装具を装着し、術後数週間矯正治療を行うこともあります。噛み合わせに関しては、歯科と協力しながら治療を行います。

眼窩骨折

眼窩とは眼球が入っている骨の部屋のことです。眼球に強い圧力が加わると、この部屋の床や壁が抜けるような骨折を起こします。これが眼窩骨折です。眼窩の周囲には副鼻腔(鼻腔とつながる空洞で蓄膿で膿がたまるところ)があるため、眼球の周りの脂肪や筋肉(眼球を動かす筋肉)が副鼻腔に押し出されます。
眼球陥凹(眼が落ちくぼむこと)や複視(物がダブって見えること)などの症状が出ることがあります。骨のずれ具合や症状の程度によって、手術の必要性を判断します。
手術では、傷跡が目立たないようまぶたの縁などを切ります。副鼻腔に押し出された眼球周囲の脂肪や筋肉を戻します。眼窩の床や壁の抜けたところに吸収性のプレートを敷いて補修します。鼻から副鼻腔に風船を入れて膨らませ、折れた骨を元に戻して固定することもあります。風船は1週間程度、副鼻腔内に置いておきます。

涙小管損傷

目頭のところに涙小管という涙の流れる管があります。眼の表面の涙は、この管を通って鼻へ流れ出ます。目頭の付近をケガしたとき、この涙小管が断裂することがあります。
手術では、この細い涙小管を顕微鏡で探して、縫います。また、この涙小管の中にシリコン製のチューブを留置します。このチューブは数ヶ月間置いておきます。

顔面神経損傷

顔面神経は、眼の周り、口の周り、おでこ、頬などの顔の筋肉を動かすための神経です。これが切れると筋肉が動かなくなります。
手術では顕微鏡で切れた細い顔面神経を探して縫合します。神経が回復するには数ヶ月かかります。

  • 重度四肢外傷
    • 開放性骨折の皮膚軟部組織再建、神経・血管損傷、デグロービング損傷など

単なる手足の骨折のみであれば、整形外科単独で治療が行えます。しかし、皮膚や血管、神経などの損傷を伴う場合、形成外科治療が必要となります。そのような重度四肢外傷をはじめ、重症の外傷を複数の科が協力して治療するため、救命救急センター外傷センターが併設されています。

開放性骨折の皮膚軟部組織再建

開放性骨折とは、折れた骨が露出したような骨折です。骨が菌にさらされるため、感染が問題となります。骨は感染に弱いため、感染した骨を取り除くために手足の切断を余儀なくされることもあります。特に骨を覆える筋肉や皮膚が損傷されて無くなっている場合、骨を覆う組織を移植して菌から守る必要があります。形成外科ではこの様な組織移植を専門として行っています。

神経・血管損傷

手足の重要な神経や血管が損傷されている場合、損傷された神経や血管を顕微鏡で見ながら修復します。

デグロービング損傷

デグロービング損傷とは、皮膚が剥がれるようなケガのことです。剥がされた皮膚はケガのダメージや血流障害で壊死することがあります。皮膚壊死が広範囲な場合や、重要な神経・血管・腱などが露出した場合には、組織移植や皮膚移植などの手術が必要になります。

  • 切断指

指が切断された場合、骨を固定したり、腱や皮膚を縫うだけで無く、血管をつなぐ必要があります。血管をつながなければ、血流の無い指は壊死してしまいます。
整形外科と合同で治療を行います。形成外科で、血管や神経をつなぎます。組織のダメージが強い場合、つなげないこともあります。血流が安定するまで、術後1週間は入院・安静が必要です。
切断された指は濡らしたガーゼ等にくるんでビニール袋に入れ、ビニール袋の外から氷水で冷やして保管してください。乾燥させたり凍らせると、つなげなくなります。急いで救急要請するか、救急外来へ連絡してください。

  • 壊死性軟部組織感染症
    • 壊死性筋膜炎、ガス壊疽

いわゆる人喰いバクテリアなどの細菌により、皮膚や皮下脂肪が感染・壊死を起こす病気です。重症の場合、死に至ることもあるため、緊急の治療が必要です。糖尿病や肝硬変などの基礎疾患がある方がなりやすい病気ですが、基礎疾患が無くてもなることがあります。
治療は救急科や麻酔科などと連携して行います。抗生剤投与などの集中治療と、壊死組織の切除を行います。

  • 皮膚・皮下腫瘍
    • ほくろ、粉瘤(アテローマ)、脂肪腫など

ほくろや粉瘤(アテローマ)などの皮膚・皮下腫瘍の切除は、基本的に局所麻酔の日帰り手術で行っています。できるだけ傷跡が目立たないよう配慮して手術を行います。術後は翌日から傷口も含めてシャワーが可能です。1〜2週間くらいで抜糸をします。
大きな脂肪腫や、深い脂肪腫では入院・全身麻酔が必要なこともあります。小児の場合も入院・全身麻酔が必要なことがあります。

  • 皮膚悪性腫瘍
    • 皮膚癌の切除および切除後の再建

皮膚癌の治療は皮膚科と協力して行っています。比較的大きな皮膚癌で、切除すると傷口が縫い閉じられない場合には、形成外科で局所皮弁(周囲の皮膚を切って移動する方法)や皮膚移植などを用いて閉じます。傷跡や変形が目立たないように配慮して行います。

  • 乳房再建
    • 自家組織再建(遊離腹部皮弁、有茎広背筋皮弁など)、シリコンインプラント再建

当院では乳腺・内分泌外科を中心として乳腺センターを運営しており、複数の科や職種が連携して乳癌の治療を行っています。形成外科では再建を希望される患者さんに乳房再建を行っています。
乳房再建の方法としては、大きく分けて二通りの方法があります。ひとつは人工物(シリコンインプラント)を用いた方法です。もうひとつは自分の組織を使った再建方法です。それぞれの方法に長所・短所があり、患者さんの希望や状況に応じて再建方法を決めています。
乳房再建の時期としては、乳癌の切除と同時に行うことがほとんどですが、後日あらためて再建することも可能です。以前に乳房切除をされた方に乳房再建をすることもできます。

人工物(シリコンインプラント)による再建

人工物を使う一番の長所は手術による体の負担が少ないことです。自分の組織を使った再建方法とは異なり、体の他の部位にメスを入れる必要がありません。手術も短時間で済みます。ただし、手術は2回に分けて行う必要があるため、手術回数は増えます。短所としては、人工物は感染に弱いため、感染を起こすと取り出さざるを得なくなります。また、インプラントが破損するリスクもあります。その他、ごく稀ですが発癌性が報告されているため、定期的な通院とチェックが必要です。
手術は乳癌の切除と同時に大胸筋(乳腺の下にある筋肉)の裏側にエキスパンダーという生理食塩水で膨らませるバッグを入れます。術後は通院しながらこのエキスパンダーを徐々に膨らませ、十分に膨らんだところで2回目の手術でシリコンインプラントに入れ替えます。人工物はしっかりした組織で覆わないと露出する危険性がありますので、大胸筋で覆うために2回に分けて手術を行います。

自分の組織による再建

自分の組織を使う一番の長所は、自分の組織であるという安心感です。人工物のように感染して取り出さざるを得なくなることはありませんし、破損や発癌性の心配もありません。また、自分の組織用いる方が自然な乳房の形態を再現できます。基本的に手術は1回で済みます。しかし、お腹や背中などから組織を採取するため、傷も増えますし、手術時間も長くなり、体の負担は大きくなります。自分の組織による再建は主に背中から組織を採取する方法(広背筋皮弁)とお腹から組織を採取する方法(腹部皮弁)があります。

広背筋皮弁

広背筋とその上の皮膚・皮下脂肪を移植する方法です。背中の脂肪はあまり厚くないため、比較的小さな乳房の再建に適しています。腋にある広背筋の根元の血管をつなげたまま、組織を胸に移動します。広背筋をすべて犠牲にしますが、周囲の残った筋肉が代償するため、日常生活に支障はありません。

腹部皮弁

下腹部の皮膚・皮下脂肪を移植する方法です。背中よりも多くの脂肪が採取出来るため、大きな乳房の再建には腹部皮弁が適しています。
従来は腹直筋皮弁(腹筋とその上の皮膚・皮下脂肪を移植する方法)として前述の広背筋皮弁と同様に、腹直筋の一部をつなげたまま胸に移動していました。しかし近年では腹直筋をできるだけ犠牲にしない深下腹壁動脈穿通枝皮弁(腹直筋を含まない下腹部の皮膚皮下脂肪のみの移植)が一般的になってきています。さらに当院では最近、腹直筋を全く痛めない、浅下腹壁動脈皮弁という方法を主流にしています。

深下腹壁動脈穿通枝皮弁

下腹部の皮膚・皮下脂肪の血管(深下腹壁動脈)は腹直筋の中を貫いています。そこで筋肉を残して、この血管だけを根元まで剥がします。そして、根元で血管をいったん切り離し、組織を完全に体から遊離させて胸に移植します。移植組織の血管を胸の血管とつなぎ合わせることにより、移植組織に血流が再開します。血管を剥がしたりつないだりするため、手術時間が長くなります。また、稀につないだ血管が閉塞することがあり、移植した組織がすべて壊死するリスクが伴います。血管の閉塞は、術後2日間以内に起こることがほとんどです。術後数週間経過すると、周囲からも血流が入ってきて安定するため、移植組織が壊死するリスクは無くなります。血管を剥がす際に多少腹直筋を痛めるため、腰痛やヘルニアなどの合併症が起こる危険性はあります。

浅下腹壁動脈皮弁

最近当院では、浅下腹壁動脈皮弁という腹直筋の中を通らない別の血管を使った方法で、下腹部の皮膚・皮下脂肪の移植を行っています。この方法では、腹直筋を一切痛めないため、ヘルニアなどの腹部の合併症の危険性がほとんどありません。血管には個人差があるため、浅下腹壁動脈が細い方では、この方法が難しいこともあります。

  • 先天異常
    • 母斑、先天性眼瞼下垂症、先天性眼瞼内反症、耳介の奇形(副耳、埋没耳、折れ耳など)、耳瘻孔、臍ヘルニア(でべそ)、多指症、合指症、多合趾症、陥没乳頭など
色素性母斑

いわゆるホクロです。小さいホクロは問題となることがあまりありませんが、大きなホクロは皮膚癌になる危険性があるため切除を行います。大きさが大きい場合は、数回に分けて少しずつ切除を行ったり、皮膚移植などで傷を閉じる必要があります。

脂腺母斑

表面がざらざらした黄色いアザです。頭部によくみられ、髪の毛が生えません。将来的に皮膚癌になる危険性が多少ありますが、見た目の問題から手術になることがほとんどです。大きさが大きい場合は、数回に分けて少しずつ切除を行ったりする必要があります。

いちご状血管腫

典型的には、生後まもなく赤い斑点が出現し、数ヶ月かけて広がり、盛り上がります。その後、1歳ころをピークに徐々に消えていきます。いずれは消えるものですが、多少の痕が残るため、見た目の問題になることがあります。場所は大きさなどにより、治療を考慮します。治療はレーザーと飲み薬がありますが、当院ではレーザー治療は行っておりません。飲み薬(ヘマンジオールシロップ)はもともと心臓の薬であるため、導入には慎重な経過観察が必要となります。小児科と連携し治療を行います。

先天性眼瞼下垂症

生まれつき眼が開けにくい病気です。瞳孔が隠れるような重度の場合には、視力の発達が障害されるため、早急に手術が必要です。瞳孔が隠れていなければ手術を急ぐ必要はありません。程度や左右のバランス、日常生活への支障などを考慮して手術を検討します。

先天性眼瞼内反症

生まれつきまぶたが内側を向いていて、まつ毛が眼に入りやすい状態です。ひとえまぶたの方に多く見られます。成長とともに改善しますが、角膜にキズが入り視力に影響が出るような場合には手術を行います。

耳介の奇形(副耳、埋没耳、折れ耳など)
副耳

耳の前方にあるいぼ状のものです。見た目の問題から治療が行われます。軟骨が含まれない場合は、糸で根元をしばって血流を遮断することにより、1〜2週間程度で自然に脱落します。軟骨が含まれる場合には、手術で切除して縫合します。小児の場合は入院・全身麻酔が必要です。

埋没耳、折れ耳

耳の上部が埋まり込んでいたり折れ曲がっていて、めがねやマスクが着用しにくい状態です。見た目の問題と、めがねやマスク着用困難の問題から治療が行われます。1歳未満の場合は装具で矯正しますが、1歳を超えると軟骨が硬くなるため矯正は困難になります。1歳以降は手術で軟骨を形成します。

耳瘻孔

生まれつき耳の周囲に小さな穴が開いているものです。中は皮膚の壁で覆われたトンネル状になっており、内部にアカがたまります。感染を繰り返すことがあり、治療が必要になる場合があります。

臍ヘルニア(でべそ)

泣いたりして腹圧がかかったときにおへそが膨らむ状態です。本来とじているべきお腹の筋肉の壁に穴が開いていて、お腹の中の脂肪や腸が皮下に脱出してくるためです。1歳くらいまでは自然に閉じる可能性があるため、圧迫などで経過をみます。1歳以降も閉じない場合は手術を考慮します。手術でお腹の筋肉に開いた穴を閉じ、おへその形を整えます。

多指症、合指症、多合趾症

生まれつき手足の指が多かったり、癒合している状態です。見た目と機能の問題から、1歳前後で手術を行います。

陥没乳頭など

乳首が陥没した状態です。授乳に影響が出る可能性があります。授乳の可能性がある方には、乳管温存して手術を行います。

  • 眼瞼下垂症、眼瞼内反症
    • 眼瞼下垂、眼瞼皮膚のたるみ、逆まつげなど
眼瞼下垂症

加齢や長期間のコンタクトレンズ装用によって、目を開ける眼瞼挙筋がゆるんで目が開けにくくなる病気です。目が開けにくくなると、おでこの筋肉(前頭筋)で眉毛を上げたり、アゴを上げたりして物を見ようとするようになります。そのため、頭痛や肩こりなどの原因となることがあります。
手術では眼瞼挙筋を剥がして引張り、まぶたの縁に固定します。目が楽に開くようになります。まぶたの皮膚がたるんでいる場合には、余分な皮膚も切除します。手術は基本的に局所麻酔の日帰り手術で行います。場合によって数日入院することもあります。手術翌日からは、傷口を含めて洗顔やシャワーが可能です。1週間程度で抜糸をします。術後1〜2週間程度は腫れや内出血が続きます。

眼瞼皮膚のたるみ

加齢にともない、まぶたの皮膚がたるみ、視野の妨げになることがあります。目を開ける眼瞼挙筋に問題がない場合は、たるんだ皮膚の切除だけを行います。まぶたの縁で皮膚を切除して二重まぶたにする方法と、眉毛の下で皮膚を切除する方法があります。手術は基本的に局所麻酔の日帰り手術で行います。手術翌日からは、傷口を含めて洗顔やシャワーが可能です。1週間程度で抜糸をします。術後1〜2週間程度は腫れや内出血が続きます。

眼瞼内反症

加齢にともないまぶた全体がゆるみ、内側にめくり込みやすくなります。まつ毛が目に当たるため、眼球にキズがつきやすくなります。手術ではまぶたが外側に向くように矯正したり、たるみを取ったりします。手術は基本的に局所麻酔の日帰り手術で行います。手術翌日からは、傷口を含めて洗顔やシャワーが可能です。1週間程度で抜糸をします。術後1〜2週間程度は腫れや内出血が続きます。

  • 顔面神経麻痺後遺症

顔面神経は口の周りや目の周りなどの顔の筋肉を動かす神経です。顔面神経麻痺はウイルス感染などにより突然発症することが多く、耳鼻科で治療が行われます。多くの場合自然に回復しますが、目が閉じにくい、眉毛が上がりにくい、勝手に目が閉じる、などの後遺症が残ります。症状に応じて手術で、眉毛をつり上げたり、筋肉や神経を移植したりします。

  • 難治性潰瘍
    • 褥瘡(床ずれ)、下腿潰瘍、足壊疽など
褥瘡

いわゆる床ずれです。寝たきりの高齢者のお尻などに出来やすい傷です。皮膚が長時間圧迫されたり、ずれる力が加わることで出来ます。圧迫やずれの予防が重要となります。当院では専門看護師を中心に皮膚科医・形成外科医・看護師・管理栄養士・作業療法士・薬剤師などで構成したチームで治療にあたっています。
除圧やスキンケア、傷の処置(洗浄と軟膏や創傷被覆材などによる処置)が治療の基本になります。傷が感染したり壊死したりしている場合は、外科的に切開や切除を行います。

下腿潰瘍、足壊疽

下腿(膝から下)は皮膚潰瘍が出来やすい部位です。原因は糖尿病、動脈硬化による血流障害、静脈うっ滞、などがあります。傷の治療だけでなく、原因となっている病気の治療が重要となります。糖尿病内科や循環器内科、血管外科などと連携しながら治療を行います。特に動脈硬化による血流障害が重度の場合には、積極的な傷の処置が壊死の悪化を招くことがあり、注意が必要です。カテーテルによる血管拡張や動脈のバイパス手術など、血流改善の治療が不可欠となります。

  • その他
    • 巻き爪、陥入爪、毛巣洞、腋臭症(わきが)など
巻き爪

爪が巻いて、爪の両脇が皮膚に食い込む病気です。主には足の親指に起こります。痛みなどの症状に応じて、治療を行います。基本は装具による矯正治療です。当科ではドクターショールの巻き爪用クリップを使用して治療を行っています。伸ばした爪の先に形状記憶合金のクリップを挟むだけで、簡単に着脱できます。巻き爪用クリップは当院売店でも販売しており、ご自身でご購入頂きます。

陥入爪

巻き爪とは異なり爪は比較的平らな状態で、両脇が皮膚に食い込んで痛みや傷の原因となる病気です。巻き爪と同様、主には足の親指に起こります。症状が強い場合は手術を行います。麻酔をして、食い込んでいる脇の爪を根元まで切除します。爪の根元をフェノールという薬品で焼き、脇の爪が生えてこないように処置します。爪の幅は狭くなります。手術は局所麻酔の日帰りで出来ます。

毛巣洞

尾底骨付近の皮膚に生じる穴で、中には毛が入っています。体毛が物理的刺激で皮膚の中に入り込むことによって生じると考えられています。汁が出たり感染を起こすため、手術を行います。

腋臭症(わきが)

アポクリン腺という皮脂を分泌する器官から出る皮脂が細菌により分解され、特有の臭いを発します。アポクリン腺は腋や外陰部などの皮膚に多く分布しています。臭いが強くて気になる場合に治療を行います。欧米などではあまり気にされないことも多い病気です。
制汗剤の塗布やボツリヌス毒素の局所注射などの治療もありますが、最も有効なのは手術です。当院ではマイクロ波治療は行っておりません。手術では皮膚の裏側からアポクリン腺を切除します。術後は数日間、腕の安静が必要です。手術は基本的に局所麻酔で行い、数日間入院して頂きます。

※レーザー治療、美容外科は行っておりません。

医師紹介

杉山 成史
  • 杉山 成史すぎやま なるし

平成13年卒業


  • 役職形成外科部長

  • 専門領域顔面外傷、乳房再建、四肢再建

  • 資格日本形成外科学会専門医
  • 勝部 璃子かつべ りこ

平成28年卒業


  • 専門領域形成外科一般
名前
  • 尾峪 寿明おさこ としあき

令和4年外業


  • 専門領域 形成外科一般

外来診療表

形成外科

形成外科 午前診療
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1診 勝部 璃子 杉山 成史 ※10:00まで 杉山 成史
2診 尾峪 寿明 勝部 璃子
形成外科 午後診療
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
杉山 成史 ※15:30まで