がんゲノム医療連携病院

国はがんゲノム医療を推進するため、全国にがんゲノム医療中核病院、がんゲノム医療拠点病院とがんゲノム医療連携病院等のがんゲノム医療関連病院を配置しました。岡山赤十字病院はがんゲノム医療連携病院に指定されています。がん遺伝子パネル検査を含むがんゲノム医療は、がんゲノム医療関連病院で受けることが可能です。がんゲノム医療は、がんゲノムチームが診療業務を担当します。

ゲノムとは体の細胞の中にある遺伝情報の総称です。がんを含む体の組織は全て遺伝情報を元に作られます。がん組織から得た遺伝情報を分析することで各人のがんの性状が明らかになります。
多くのがんは遺伝する病気ではありません。
がんを生じる原因には加齢に伴うがん免疫の低下、喫煙や飲酒、食生活など生活習慣の要因、アスベストや被曝など環境の要因があります。これらによって発がんに関連する遺伝子に異常を生じることでがんを発症します。

がんゲノム医療とはがん組織や血液を用いて多数の遺伝子を分析し、各人のがんに関連する遺伝子異常に基づいて治療方法を検討する医療です。
検査方法はがん遺伝子パネル検査です。この検査では手術や検査で採取したがん組織や血液から遺伝子を抽出し、100種類以上の遺伝子異常を分析することで各人の遺伝子変化を明らかにします。
がん遺伝子パネル検査は、肺がん、乳がんや大腸がんで行われている複数のがん遺伝子を調べる従来の検査とは異なる検査です。
治療に関連する結果が得られた場合には臨床試験や治験などの治療を検討します。

当院では2022年6月よりがんゲノム外来を開始し、実施にはがんゲノムチームが対応します。診療についてはがんゲノム医療中核病院の岡山大学病院と連携して対応します。

がんゲノム医療の対象となる患者さんは抗がん剤治療を行っている進行がんの方で、未治療の場合は対象とはなりません。
その中でも対象となるのは、局所の進行や臓器転移のある患者さんで標準治療が終了見込みの患者さん、または標準治療のない稀少がんの患者さんの2通りです。

がんゲノム医療中核病院では検査結果を治療に結びつけるため、がんゲノム医療の専門家によるエキスパートパネル、検討会が定期的に行われています。エキスパートパネルには各病院の担当医も参加します。各人につき効果が期待できる治療の有無が検討され報告書が作成されます。

当院の担当医が検査結果とエキスパートパネルでの報告書を参考にした治療方針を説明します。
新たな治療方法が見つからない場合には、担当医とがんゲノムチームが中心になって次の治療方針を検討します。

令和4年度

膵がん16例、胆道がん8例、大腸がん6例、肺がん2例、乳がん1例、原因不明がん1例

がんゲノム医療は新しいがん治療の取り組みです。がんゲノム医療に関する質問は、担当医またはがんゲノムチーム担当者へお問合せください。