・残薬への対処法は?沢山家に持っている薬をどうすればよいですか?
残薬の状況を診察時に医師へ申告するか、かかりつけ薬局で申告してください。残数調整が可能です。飲み忘れが多くて残薬が増える場合も、対策を一緒に考えるので医療スタッフへご相談ください。薬にも期限がありますので、古い薬や変色などしている場合は廃棄してください。
・効果に疑問を持っても同じ医師、病院に訴えたら否定されるだけでは?
薬剤師にご相談いただければ、どのような効果があるかなど詳細に説明します。気軽にご相談ください。
・飲み忘れをなるべく少なくするには?
配薬カレンダーやケースの活用、一包化への変更などがあります。
また、薬によっては飲む回数の少ない薬や合剤への変更が可能な場合もありますので、主治医または薬剤師へご相談ください。
・最低限度必要だけ出して頂くには?
かかりつけ薬剤師までご相談ください。自己判断ではせず、減薬を一緒に考えていきましょう。
・病院から出されている薬の量(何種類も)が多く、服薬を嫌がる方も多いので、必要最低限というわけにはいかないのでしょうか?
かかりつけ薬剤師までご相談ください。自己判断ではせず、減薬を一緒に考えていきましょう。
・サプリメントと薬を多数服用した場合の副作用は?
(例;セサミン、プロポリス、ビタミン C・E、グルコサミン、糖尿、高血圧、高脂血症等)相互作用により薬が強く効きすぎたり、逆に効き目が弱くなったり様々なことが起こりうるため、心配な場合はかかりつけ薬剤師まで一度ご相談ください。
・6-7 割の場合よりも 8-9 割の方が副作用が減っているのはなぜですか?
このデータは一部の方を対象とした生データです。もし分母が多くなれば 8-9 剤の方が増える可能性もあります。
・内服の確認の方法は?
同居されていない場合でも、内服した殻を残しておいてもらい、介護者が確認することなどが方法の1つです。
また e おくすりさん(当日スライドで紹介)などの活用も有用だと思います。
・ご本人のこだわりが強く、指示通りに内服できない方へはどのようにして関わればいいですか?
(例;降圧薬・・・三日ごとに内服する、胃薬・・・便が出たら内服する)
こだわりを変えるには非常に時間がかかると思います。効能効果や薬の効き方(血中濃度の推移など)を詳細に説明することで納得いただけることもあります。また、薬剤を変更する事も一つの方法かもしれません。
・市販のお薬の使用期限?が過ぎると効果が弱くなるのでしょうか?または危険なのでしょうか?
市販のお薬だけではありませんが、お薬には使用期限があります。各製薬メーカーが試験を行い、より安全な品質を保証できるのが使用期限となります。それを過ぎると効果が弱くなったり、不純物が出たりする危険性があります。使用期限を過ぎた薬品は廃棄してください。
・処方された薬はいつまで使えますか?
薬によって期限は異なりますが、医師は現在の症状に対して薬剤を処方してくれています。なので、その症状が完治した場合は廃棄する事をお勧めします。慢性疾患の薬剤は、直射日光を避けて涼しいところに保管するようにしてください。
・薬の飲み忘れを頻発した場合、古い薬が飲める期間(期限)はどのくらいですか?また、市販の薬は期限を過ぎて服用することは危険でしょうか?
期限については上の回答をご参照ください。
市販薬も病院の薬と同様、期限を過ぎて服用することは避けてください。
・高齢者に副作用が多くなる理由のところで、薬が効き過ぎているという説明がありましたが、薬の種類はそのままで、薬の量を少なくするだけでは副作用を減らすことはできないのでしょうか?
考え方としては正解です。同じ薬でも量を減らすことで副作用が軽減することもあります。ただしご自身の判断で減量するのではなく、医師へ相談して判断してもらってください。
・貼布薬(リバスタッチ)を使用、効果があり 3 年間程安定しているが食欲があり肥満になってきている。どう対応したらよいでしょうか。
製薬会社が発行している説明書(添付文書)に肥満という副作用はありません。ただ、体調が安定して食欲が増していることは考えられます。
・サプリメントに副作用があるのですか?
どんな薬やサプリメントにも副作用はありえますので、かかりつけ薬剤師にご相談してください。
・緑内障があると、ある薬を出せないと言われた。どうしてですか?
抗コリン作用のある薬剤は房水通路を狭くし眼圧を上昇させるリスクがあるため、緑内障を悪化させないために使えない場合があります。
・薬を一包化してもらうにはどうしたら良いですか?(病院で相談?薬局で相談?)金額は違いますか?
病院でも薬局でも大丈夫です。医療スタッフまでご相談ください。
金額はかかりますので、かかりつけ薬剤師と相談してください。
・薬代を安くするためにジェネリックを希望することはどこの薬局でも可能か。また、効能に問題はないのか。
院外の薬局であればどこでも可能です。主成分は同じなので効果も基本的には同じです。厚生労働省も推奨しています。
・定期的に薬を処方されている高齢の患者さんで、薬が無くなる時期が来てるのに薬局に来られない場合、薬局としてフォローすることは可能でしょうか?
可能です。かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局としてする時代と思います。
・高齢者の薬の副作用は肝・腎機能低下による薬の効きすぎとのことでした。同一の薬を長期継続して服薬した場合、肝・腎等臓器の機能を低下させることはありますか。
あるかもしれません。お薬は身体に入ると一般的には肝臓で代謝され腎臓から排泄されます。薬を長期間内服することで肝臓・腎臓に影響を及ぼし、機能が低下する場合もあります。定期的な血液検査での確認が必要です。医師が数か月おきに検査してくれると思いますが、あまり行われなければ是非相談してください。
・独居の方など、自身の服薬管理がわからない場合、医師と服薬状況を共有するにはどのような方法がよいでしょうか。
今回取り上げた“e おくすりさん”はよく考えられたものです。是非試してください。また、内服したら何か(日誌・ノートなど)に記録をつける習慣をつけ、診察時に医師に提示することなども良いかもしれません。
・使いた(薬)や効き方は医師の方が判断しつつ対応してくださるということですか?
そのとおりです。ご家族が家庭での詳しい状況を診察の時に教えてくださるとより確かな治療につながります。
・維持ができないと判断の場合、どのタイミングで薬物療法は中止になりますか?
抗認知症薬については使い始めてから数か月で認知機能がどんどん落ちるときには増量もしくは中止になります。各薬剤で決められた最大容量まで用いて、それでも認知機能がどんどん落ちるようであれば、中止とします。
・薬の効果に有意差があるとのことでしたが(使う意味がある)、他の病気(神経系に限らず)の薬を比べて、効果について甘い判断になっていないか?
あまり判断になっているとは思いませんが、偽薬と比べて効果の程度は強くはないとされています。
・メマリーの効果が疑問視されていますが、漢方の抑肝散の効果はありますか?
抑肝散については、多数の患者さんで調査したデータはないので確かなことは言えませんが、少なくとも一部の患者さんでは気持ちが落ち着くとか幻覚が減る、認知機能が保たれるなどの効果があるようです。ちなみにメマリーについては抑肝散よりは医学的にその効果ははっきりと証明されています。
・重度の認知症になった場合、薬を中止することはありますか?効果が 4 年程度と伺いましたが・・・。
重度の認知症の患者さんで抗認知症薬をどの時点で中止するかは議論のあるところです。少なくとも中止してみて悪化がないようであれば中止して構わないと思いますが、中止して症状の悪化が見られればその抗認知症薬は継続する方が好ましいと思います。
・薬は重度の方だけで良いのでしょうか?
抗認知症薬は軽度認知症の段階から効果があるとされるものがありますのでそうした薬剤は早い時期から服用されるのがよいのではないかと思います。
・(食欲)不振と減退の違いを教えて下さい。
食欲不振は食事が進まない、おなかがすかない、食べる気がしないという状態です。食欲減退はその食欲不振の類似語として考えられているのでほぼ同じことだと理解してよいのではないでしょうか
・夕方になると「家に帰らなければならない」「家の用事をしないといけない」etc と理由をつけて家に帰ると繰り返し話をされます。その時の声掛け、対応の仕方とは。
いわゆる帰宅願望はなぜか夕方に多いものです。この状態が日々見られる患者さんに対してはいかに別のことに気持ちを向けるかが大切だと思います。たとえば一緒に夕食の準備をする、洗濯ものをたたむ、一緒にカラオケをする、散歩をするなどそうした対応が望ましいのではないかと思います。声掛けについてはそのようなことを誘うように優しくしてさしあげたらよいのではないでしょうか?
・認知症の薬は高額ですか?標準的な症状の場合、いくらかかりますか?
認知症の薬は通常用量で 1 日あたり、400~500 円程度です。従って 3 割負担の方であればその 3 割、1 割負担の方であればその 1 割が費用となります。これを高いとみるか安いとみるかは各々の受け止め方によります。
・攻撃性のある認知症患者にアリセプトが処方されている場合(かかりつけ医から)で、改善ないためメマリーなどに変えてほしいが、かかりつけ医が薬を変えてくれない時にはどうずれはよいでしょうか。
アリセプトを服用中に攻撃性が出てきた、あるいは増したということであればアリセプトの影響で攻撃性が出現もしくは悪化したと考えられますのでアリセプトを減量もしくは中止されることが望ましいと思いますが、もともと攻撃性がある人の場合にアリセプトを処方してその攻撃性が変わらない場合は無理にアリセプトを止める理由にはならないでしょう。メマリーを服用することによって攻撃性が改善することはあるので主治医の先生には攻撃性がひどく気になると言うことを強くアピールして何度も対応を依頼してみてはいかがでしょうか。それでも全く話を聞いてもらえないような状況があるならば認知症センターなどの専門医を受診し相談してください。
・義兄が認知症で現在サービス付高齢者住宅に入所しております。介護度が 4→2 になりましたが認知症の介護度は何を基準に決めるのでしょうか?
介護保険には基準があります。その基準は一般にはあまり明らかにされていませんのでその審査をしている方に聞いてみましょう。
・施設のケアマネから専門医の診察を受診するよう言われていますが、どこへ行けばいいのでしょうか?現在は長年かかりつけの内科医にかかっています。
そのかかりつけの先生に相談されるか、進めてくれているケアマネに相談してみましょう。認知症疾患医療センターというのは各都道府県に複数ありますのでそこに電話をして聞いてみてもよいと思います。
・認知症の遺伝的要因は高いですか?
すくなくとも日本人においてはアルツハイマー型認知症の家系はほとんどないとされていますが、身内に認知症の方がいるだけで、女性であるだけで、高齢になるだけで認知症の割合は増えていますのでそうしてみると女性であったり、身内に認知症の方がいるという方は何らかの遺伝子の影響を受けていると思いますが、強い影響というほどのものではないと考えます。
・例えば 3 姉妹のうち長女、次女が認知症であれば三女も認知症になる可能性は高いですか?
高いと思いまるが、認知症発症には生活習慣などもかかわっているといわれているので絶対にその方がなるというものではありません。
・病気と思わず少し年寄りぼけが強い位に思って普段の生活をする様にした方が良いのではないかと思います。
認知症なのか老化なのかという議論は今でも結論は出ていないところはあります。従って受け止め方の問題になることがあるかもしれませんが、病気と考えてその治療を模索している現状からすればよりよい老後を送るために何らかの治療が受けられるのではないかと思って医療機関に相談されることは悪いことではないと思います。
・アルツハイマー病は早期に発見できれば寿命まで進行抑制できて、周辺症状の発症を抑えられる可能性はあるものでしょうか?また、早期発見の為にできることがあれば教えていただきたいです。
アルツハイマー病は早期発見・早期治療が望ましいとされていますが、平均寿命まで生きられるとは限りません。抗認知症薬の効果は限定的で効く人と効かない人とがありますのでそのあたりは治療してみないとわかりません。周辺症状はご家族など周囲の対応に影響されることが多いので周囲の方々のよりよい認知症対応を学んでいただけると少なくなるでしょう。物忘れとともに日常生活に影響が出るような症状が見られかけたら怪しいと思うことが早期発見につながるのではないでしょうか。
・甲状腺機能低下の場合、必ず認知症になりますか?
必ずしもならないと思います。甲状腺機能低下症の方の一部に認知症と診断されるのであってすべての方に出るわけではないです。
・病院に行くのが嫌な人にどのように病院に行ってもらえるのか困っています。本人の自覚はあるのですが、介護保険も利用しない。早期に出前病院というかサロンのように利用しやすいようにしてもらいたいです。
病院受診をされない認知症と思しき患者さんに対しては地域の包括支援センターが相談に乗ってくれますのでそちらに相談しましょう。
・危ない運転になったにも関わらず本人に自覚がなく運転をやめさせた方がいい場合、どの様な対応がよいか。誰がどう声をかけるか。
ご家族が運転を辞めるように地道に説得してください。その方があきらかに認知症で通院されているところがある場合はそこの主治医に説得をしてもらいましょう。場合によっては最寄りの警察署に行って警察の方に相談してもよいでしょう。
・診断をされた後、本人、家族へのフォローが少ない又はないと感じます。どの程度まで説明(対応)していただけますか?
受診した医療機関が認知症と診断したが、その後の対応が不十分という意味でしょうか?それであるならば認知症疾患医療センターや地域の包括支援センターに相談し、よく見てもらえる医療機関を紹介してもらってください。
・受診拒否のある患者さんを医療機関につなぐには?
地域の包括医療センターに相談してください。
・ユマニチュードの技術は実際にどういう場面で病院、施設、在宅等々用いられますか?
基本の対応は大切ですが、なかなかその場面ですぐ技術が使えない場合、どうすればよいですか?
それぞれの施設や自宅で心がけたらよいと思います。認知症の人の立場に立ったコミュニケーションの技術です。対面するときや実際に体を触って介護をするときに相手の理解ができるようにユマニチュードを使います。万能ではありませんから、介護抵抗の強い方には無理な誘導はせず、辛抱強くユマニチュード的対応を試みてください。
・会話のなかなか通じない方ですが、常に独語があります。同じ内容の言葉を(短いですが)繰り返してしゃべります。その話がとても気になるスタッフがいます。私はそんなに気にならないのですが、そのスタッフはどう接すればよいでしょうか?耳についてご自分が情緒不安定になると言われます。
独語が気になるスタッフがおられるのですね。その独語はどんな時に多いのか、何か気になって独語になっているのでしょうか。独語にも何らかの意味があるかもしれません。独語を理解できないものと感じ、拒否的に感じるのではなく、その人にとっては何かの意味があるのだと考えて話しかけてみると、周囲が変わることで独語も変わってくるかもしません。また、認知症の人を一人の人として敬う態度や辛抱強さが必要です。
・介護する家族も話す機会がなく認知症カフェなどの機会や場所を知る手立ては?また参加することにもハードルが高くどのようにすれば前向きになるのでしょう。
どなたが、キーパーソンなのかで異なりますが、なかなか家族との接触がうまくいかないことがあります。夫婦ならまだよいのですが、子供だけとなると仕事に忙しかったり、介護への関心や意欲が乏しかったりすることもよく経験します。認知症カフェは各自治体の広報に出ていますから、連絡は可能です。家族の支援の方法としてデイサービスを利用して施設との関係を作ることでも相談の窓口が広がります。かかりつけ医に勧めてもらうのもよいかもしれません。
・相手(患者さん)がすぐ怒ったり、興奮したりして、口は荒いし暴力をふるいそうで・・・。そうなると、警察官とか弁護士に押さえてもらって、即効性の注射のようなもので“とりあえずその場を押さめる”くらしかないのだろうか。他のいい方法は。
怒る、叩く、噛みつくなどは病院では日常の出来事です。いちいち警察を呼んだりしません。注射をすることもできません。怒るのには理由がある筈です。投げかけるものがなければ返されることもないかと思います。良かれと思ってすることが、相手にとって良くないこともあり、理解できない人にとっては怒らせることになってしまいます。そっとしておくのがいいと思います。放っておくのではなく、一定の領域を守ってあげながら見守ることです。動物にもテリトリーがあるように、静かに過ごせる場所があると落ち着かれることがあります。
・人と人とのつながりというかコミュニケーションが一番大事ではないでしょうか。
その通りですね。お互いの意思が通じ合うのは、日本的には以心伝心といいますが、言葉にすることも大切です。和顔愛語といって相手を思いやった優しい言葉と笑顔を心がけてください。
・短い簡単な言葉を具体的な肯定文で書いてあげるのはいかがでしょうか?
認知症の人にはわかりやすい短い言葉が伝わりやすいといわれます。どうすれば理解できるかを工夫することが大切ですね。
・家族が気付いた、もしくは「おやっ?」と思ったときに、認知症の人本人に、病院に行くのをどう切り出すのがよいでしょうか?
その人の性格によって違います。もしかしたら認知症かもと言われたら、断固拒否する人は難しそうです。かかりつけ医のある人はかかりつけ医に相談すればよいと思います。夫婦そろって健康診断に来られることもあります。軽い認知症レベルの人や疑いレベルの人にはものわすれ予防薬があると説明すると、その後の診療はほぼ問題ありません。
・いかなる病気でも、病院へ行きたがらない人への対応方法。理由は自分の身体をいじられるのがイヤだと言います。
病院嫌いな人を病院へ連れて行くことは難しいです。体をいじられるのがイヤという理由があるのですから、その意思を尊重してあげるべきです。もしも延命治療を望まないという意思表示があれば、それは尊重されるべきではないでしょうか。
・認知症かな?と思った時に、まず周りがすべきことはなんですか?認知症だと自覚がない人(自覚したくない人)に病院を受診させるコツや心得はありますか?また病院の受診というのはそもそも必要ですか?
軽度の認知症では、もの忘れも自覚でき、家族と話が合わず何か変だなと思うことがあります。認知症という言葉は使わず、「最近忘れっぽくなっているようなので、もの忘れ予防の薬があるらしいので、相談してみましょう」と穏やかに勧めてみるのはどうでしょうか。夫婦であれば、二人で健康診断に行ってみようと誘えば成功することが多いです。
早期診断が必要な理由は、治る認知症もあるということです。アルツハイマー病やレビー小体型認知症は少しずつ進行する病気ですが、慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症は外科的治療で改善するものです。
・若年性アルルハイマ-の方に対する対応では対応の仕方に違いがありますか?拒否される感じがつよく感じられますが。アドバイスいただきたいです。
若年の方でも個人差があります。ある程度病状が進んだ方では拒否が強い方もおられます。若年に限らず、拒否が強い方を無理に誘導するのではなく、理解のできる範囲でユマニチュード的対応を試み、なるべく馴染める環境を作るように心がけます。
・とても参考になりました。もっとよい言葉があると教えてもらいたい。
受容することの難しさを感じていますが、個人差があるようです。人によって“幸せな認知症”もあれば、“不幸な認知症”もあるのですが、幸か不幸かは心持次第です。最近、結構不幸かなと思える経験をしましたが、“死ぬこと以外はかすり傷“という心持もよいのではないでしょうか。
・自覚のない方に認知症診断を受けるよう促すいい方法はありますか?(話し方など)
上記と同じです。
・認知症家族の話を聞く時、からくりに気付いていない対応をしている場合、第三者としては家族にどう関わるのが良いでしょうか。
からくりを説明した本を紹介してみるのはどうでしょう。アマゾンで認知症を探すと、「認知症の人を理解したいと思ったときに読む本」「認知症の人の気持ちがよくわかる聞き方・話し方」など新しい本も出ています。
・モンテッソリーケアはどういうものでしょうか?
イタリアの精神病院での知的障害児や保育施設での独特な教育法がモンテッソーリ教育と呼ばれています。モンテッソーリ教育を受けた藤井聡太さんが有名ですね。子供達が感覚を通して自主的に学ぶ環境を整えているのです。実際に体験したことはありませんが、それを介護に応用するということで、個人の自主性にまかせ、できることをするということでしょう。デイサービスで、皆で歌を歌うとか集団での作業ではないので、細かな見守りが必要でしょう。
・もし認知症が始まったら(P.11)何科を受診したらいいですか?
軽度であれば、まずかかりつけの先生に相談してみましょう。かかりつけの先生が詳しい検査が必要と判断されたら、専門施設を紹介していただきましょう。もの忘れ診断は、神経内科、精神科、脳外科、老年科など様々な科で対応しますが、必ずしも認知症を専門に診ているかどうかわからないので、専門医がいるかどうかネットで調べてみましょう。もの忘れ外来があれば大丈夫でしょう。予約外来が多いので、事前に電話相談をした方がよいと思います。
・すでに骨折している方、パーキンソン様という方で、その可能性のある人にはどう伝えればよいですか?
ご高齢の方の場合、様々な疾患が合併している方が多いようです。iNPH ではない方も多いと思います。まず、頭部 MRI で精査してみてはいかがでしょうか。
・高齢で水頭症の手術をする方がリスクが高いと言われた場合、どうしたらよいですか?あきらめるしかないですか?
現在のところ、全身麻酔で手術を行いますので、そのリスクが高ければ、手術は難しいと思われます。
・手術後、その手術が原因で手足が廃用身になることは?
手術の合併症は、シャント不全、シャントの利きすぎ、感染があります。腰からの手術をする場合は、脳を触りませんので、術後脳出血の可能性は低く、大きな合併症は少ないと考えています。ただ、ご高齢の方が多いので、術後の回復が悪く、寝たきりになってしまう可能性もあります。
・iNPH の原因は何でしょうか?
特発性ですから原因を特定することは今のところ困難です。以前に頭部外傷の既往等がある場合もありますが、その場合は特発性ではありません。
・かなり高齢のため手術が難しい・・・という場合はありますか?何かほかの病気のために手術できないということはありますか?
全身麻酔のリスクが高い場合は、手術できないことがあります。腰からの手術の場合は脊柱管狭窄などが強い場合には手術困難です。
・知人 70 才男子でパーキンソン病と 5 年前診断され現在は介護認定を受けデイサービスを利用しています。パーキンソン病は進行すると聞いていますが、水頭症は進行するのでしょうか。もし、症状が進行していない場合、水頭症の可能性はありますか。
水頭症も症状の進行があります。症状が進行していない場合でも水頭症の可能性はないことはないと考えます。
・iNPH は一般的な病気として、どんな総合病院でも正確に診断いただけるのでしょうか・・・パーキンソン病と誤って診断されることはないですか?
いろいろな疾患との鑑別が必要となってきます。その中でパーキンソン病との鑑別は難しいといわれています。ただ、iNPH は専門家の間ではよく知られた病気であるため、誤診されることは少ないと考えます。