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第6回世界アルツハイマーデー記念講演会in岡山(H29.9.28)

講演1 認知症と自動車運転

Q 医師の診断を受けなかった時のペナルティはあるか?免許停止にする効力はあるのか。 自主返納しかないのか?
A・診断書提出命令書の通知を受け、やむを得ない理由なく指定された期日までに医師の診断書を提出しなかった場合に免許停止処分となり、その後、改めて医師の診断書提出命令書等を通知することとなります。再度の命令等に従わない場合には、このことを理由に免許取消処分となります。また、認知症と診断された場合には、公安委員会の判断により免許停止又は取消処分となります。
・自主返納については、診断書提出命令書を受けても自主返納はできます。しかし認知症と診断された医師の診断書を公安委員会へ提出後は自主返納はできないので注意して下さい。
・診断書提出命令の対象者(認知機能検査の結果が 49 点未満の場合)となった方には、配達証明郵便により診断書提出命令書及び案内の手紙を添えて通知しています。また、対象者の方へはできる限り電話により案内をしています。


Q 田舎など車がないと不便だと思うが、運転を辞めるために交通の便をよくするなど他の方法があればいいと思うが何かあるか?また今後、何か対策される見通しはあるのか?
A・一部取り組んでいる市町村があるので、各市町村へお問い合わせ下さい。
 岡山県警では、免許証を自主返納等された方からの申請により、おかやま愛カードを発行しています。このカードを提示すれば県内のバス料金が半額になるなどの色々なサービスが受けられます。


Q 認知症で免許の返納に困った際、家族の相談は警察のどこに相談したらよいか?また医療機関との連合はどうなっているのは?どんな対応ができるのか?
A 相談窓口は岡山県運転免許センターに設置しています。電話でも相談に対応していますが、本人と家族等で免許センターに来てもらい相談を受けることをお勧めします。予約なしでも対応しますが、スムーズな相談のためには事前に予約をしていただきたい。

Q 認知症が急激に進むことがあるため、高齢者の更新を1年ごとにできないのか?
A・高齢者講習は自己の運転の弱点を教習所等の指導員に見てもらい、自分の弱点について指摘を受け、安全運転を続けるための指導を目的としており、免許証を取り上げるための制度ではありません。更新時期には高齢者講習を受けることとなっているが、運転に不安などを感じた方は高齢者講習以外に教習所等において、任意で実技講習などを受ける制度があり、そこで運転の弱点などを知ってもらうことができます。また、特定の違反をした際に臨時認知機能検査を受けるが、それが前回と比較して点数が低くなったときには別の講習を受けてもらう制度はできている。


Q 高齢者で違反を行い、更新時に病院で診断を取るようにいわれ、アルツハイマーと診断がついた。しかし、警察に行くと免許の更新ができ、現在も車の運転をしている。
診断書を出さなかった場合、免許が簡単ではないが、もらえるものか?

もしそうであれば病院の受診はいかがなことかと思う。病院側も診断書の提出は任意と思うのでその方の診断書は提出されていないと思う。その方から相談があった際、色々と話したが免許の返納はしたくない、家族もしなくてよいと言われた。認知症高齢者や高齢者の事故が最近の多いが、そのような状況なら免許はもらえない方がよいと思う。このような方が運転している事態怖い気がするが、そのあたりはどうか?
A・公安委員会から診断書提出命令の通知があり、病院で認知症と言われても本人が希望すれば免許更新は出来ます。しかし、公安委員会へ診断書の提出があり、認知症と診断されている場合には多少の時間はかかりますが、免許は停止又は取消処分となります。また、診断書提出命令に従わず診断書を提出しなかった場合には、このことを理由に免許は停止処分となり、再度提出命令等の通知を行います。
 ・家族等からの相談に対しては岡山県運転免許センター内に相談窓口があるので、電話又は直接免許センターへ相談に来てもらいたい。相談の結果、任意に診断書を提出していただき認知症と診断を受けている場合には免許は停止又は取消処分となります。また、第三者からの通報、相談は受けていませんので、そのような方がいれば家族等を通じて相談するように伝えてもらいたい。
・事故を起こされた方で認知症が疑われる方は、各警察署から免許センターへ通報があり、臨時適性検査等を実施し、その結果が認知症であれば免許停止又は取消処分となります。


Q 認知検査の点数配分がしりたい。技能検査はどういうことをするのか?矯正視力でどこまでなら合格か?
A・認知機能検査の総合点の計算は、
総合点は、次の計算式に当てはめて算出しています。正しい回答が多くなるにつれて総合点が高くなります。
 総合点=1.15×A+1.94×B+2.97×C
 Aは、「年」、「月」、「日」、「曜日」、「時刻」が正しく回答されているかどうかについての点数です。正しく回答すると点数がつきます。
 Bは、記憶した 16 種類のイラストの名前が正しく回答されているかどうかについての点数です。正しく回答すると点数がつきます。
 Cは、時計が正しく描かれているかどうかについての点数です。正しく回答すると点数がつきます
・75 歳以上の者に対する高齢者講習(技能検査)
 認知機能検査で「認知症のおそれあり」「認知機能低下のおそれあり」と判定を受けた場合
 ○教本や視聴覚教材を用いた指導
 ○車の運転や運転適性検査器材による検査に基づく指導(動体視力や夜間視力など)
 ○認知機能検査の結果に基づく指導
 ○1対1の個人指導
・視力について(裸眼視力・矯正視力(眼鏡、コンタクト))
 ○普通車・準中型車・中型車(8t)は、
 両眼で 0.7 以上、片眼がそれぞれ 0.3 以上であり、片眼が 0.3 以下又は失明等の場合は、片眼が 0.7 以上で視野角度が 150 度以上必要
 ○中型車・大型車・旅客車・けん引は、
 両眼で 0.8 以上、片眼がそれぞれ 0.5 以上であり、深視力が必要


Q 家族は免許を返納させたがっているが本人に病識がなく、嫌がっている場合、どう説得するのか?
A・主治医から現在の病状で運転をした場合の危険性等について説明していただき、返納を促す。または、免許センターの相談窓口を利用して下さい。


Q 免許証を返納後にサポート車限定免許について再取得できるか?
A・認知症を理由として免許の取消処分となった場合、認知症が改善し認知症ではないとの診断書があれば再取得は可能となります。また、免許証を自主返納された方についても再取得は可能ですが、一から取り直しとなります。
 
Q 届け制度で認知症の方が上がったケースはあるか?
A・件数は少ないが医師からの届出により行政処分(取消処分)となった方はいます。

Q 第二分類の事故率と第1分類で認知症と診断された数は?
A・第二分類の事故率は出していない。ただし、今後は 75 歳以上の人で事故を繰り返しした人が以前の検査でどの程度の点数で分類が何だったかなど統計を取る予定である。また、8月末現在、第一分類で認知症と診断され 21 人の方が免許取消処分となっています。


Q 本人が自覚していないときはどうしたらよいか?
A・主治医や家族等で説明をし、自覚を促してください。また、適性相談窓口を利用してください。


Q 本人に認知機能低下の自覚がなく、テストの点数が低かったため免許更新ができなかったが、本人は納得いかず、警察に文句を言う。そのような方への対応はどうしているのか?
A・認知機能検査の点数が低くても免許更新は可能である。また、検査の結果等に文句があった場合は、免許課の係員がわかりやすく説明を行っています。


Q 免許更新時に確実に把握できる方法があればよいと思うが何かあるのか?
A・免許更新時等の手続きでの言動等に認知症が疑われる方には声掛けをし、個別に状況を聞き取り対応しています

講演2 認知症と転倒

Q すり足の症状があり、それにより転倒したが、病院でパーキンソンは否定された。認知症と言われているが、歩行の様子が変わった。進行しているためなのか?薬の副作用なのか?
A 認知症とともに歩行が変わるという事はある。特にレビー小体型認知症の場合は歩行の変化はある。じっくり見ると診断がつくことがある。転倒しやすくなる薬もあるのでその可能性もある。


Q 薬の見直しを患者から言った際、自身の処方に文句を言われているように感じて主治医は嫌な気持ちはしないか?
A たとえば 15 種類も出している先生がいたら言ってほしい。患者さんが診察の際に「息子が多すぎるというがどうでしょうか?」とか「一種類減らすとしたらどれがいいですか?」などと言い、数か月ごとに減らしていくとよいと思う。誰かのせいにして柔らかくいってもらったらいい。本人も言いにくいと思うが、家族が言ったというといいやすいと思うのでそうしてもらいたい。


Q 65 歳だが、駅の近くで信号が緑だとおもい、走ったが 1 センチの段差で転んだ。認知症を防ぐには焦る性格を直した方がよいのか?
A 焦らないで生活をしましょう。また運動もしましょう


Q 認知症状だけではなく、加齢とともに避けれない転倒だが、少しでも危険性が下がるような対応方法はあるか?
A 点字ブロックなどの上は歩かない方がよい。また道路の端など平らで安全なところを歩く方がよい。特に坂があるところは要注意なので気を付けて歩いてもらいたい。普段から足腰を鍛えましょう。


Q タオル絞りと転倒の関係性は?
A ご質問の意味を次回教えてください


Q ベンゾジアゼピン系薬剤と非ステロイド性抗炎症薬の商品名が知りたい。 
A 数多くありますのでインターネット等でお調べください


Q 転倒の原因となる男性更年期障害は女性と違い高齢まで続くものなのか?
A 続くこともあるといわれていると思います


Q 転倒する方は同じ認知症でもレビー小体型認知症が圧倒的に多いのか?転倒骨折したらその後、寝たきりになる率はどの程度か?
A 転倒を起こしうる認知症の実数としてはレビー小体型認知症が多いと思います。転倒骨折後の寝たきりになる率はデータの取り方もあるのではっきりした数字としては出ていないと思います。その転倒骨折前の足腰の状態が大きく関与していると思います。寝たきりにならないためには普段から足腰を鍛えておくことをお勧めします。


Q バリアフリーや杖を使うと逆に体が弱くなるのではないか?
A バリアフリーも杖も転倒を防止する策ですのでそれにより、足腰が弱ることは関係ないのではないでしょうか

講演3 認知症と徘徊

Q 徘徊の前兆はあるか?
A 必ず有るとは言えないが、危険な徴候は幾つか有る。夜間に起きて動き回るとか、昼間も落ちつかず精神的に不安定になっているとか。自宅に居るにも関わらず、「家に帰る」と言い張る場合は非常に危険である。何らかの対応を早急に考える必要がある。


Q 認知症の方の症状の中に徘徊は必ずあると思うので様子観察の方法など、あれば教えてほしい。
A どなたにでも起こり得る、と思っておくだけでも対応が違ってくる。今まで無いからと云って安心するのではなく、もしかしたら出て行って迷子になってしまうかも、と心配しておくことが大切。(具体的な対応方法については、会場にて配付した資料から、以下に転載)具体的な対応方法としては、昼夜リズムの乱れには日中のデイ活動を勧めたり、退屈でウロウロしているときには何かをしてもらうことが有効な場合もある。帰宅要求が激しい時には一緒に外出して暫く歩いていると自宅にスムーズに戻りやすい。何かを探しているときには一緒に暫く探してから何か別のことに注意を向けるのも有用である。それでも難しい場合には、服に連絡先を縫い付けたり、携帯電話の GPS 機能を活用する場合もある。市区町村によっては、対応システムが構築されている場合もあるので、不安を感じる場合には、地元の地域包括センターに相談していただきたい。


Q 夜になると外にでようとする。日中はディサービスを利用している。何度も警察にお世話になっている。アリセプト 5mg と抑肝散を飲んでいるが、主治医からは薬を替えても仕方がないといわれている。なにかできることはあるか?
A まず、田舎か都会かを聞く。田舎に住まれている場合、山に入ったりすると GPS も届かない可能性がある。川も危険。家族が交代で見守ることができないなら、ショートステイの利用や施設入所も考えたほうが良い。街中に住んでいる場合には、ご本人が必ず持って外出するモノがあるかどうか?を聞く。必ず持って出掛けるモノがあれば、それに GPS 携帯などを付けて、場所が直ぐに分かるようにする。靴に GPS を付ける事も出来るようだが、別の靴を履いて出掛ける可能性もあるので、なかなか難しい。街中でも、川や水路は危険。
また、地元の地域包括センターに相談したり、ショートステイを利用することも有益である。


Q 徘徊の対応方法だが、独居で、一緒に外出したり物を探したりする人が居ない場合、どんな対応法があるのか?
A 非常に難しい。外出時に必ず携帯されるモノがあれば、それに GPS 機能付きの携帯を付けておくなどの方法は有り得るが・・・外に出られないようにするのは、人権の問題もあり難しい。施設利用も考えざるを得ない。


Q いろいろな徘徊があると分かった。家を出る前より、家に帰り着いたときのほうが少し気分が良いようで落ち着いているとなれるような付添いの工夫は何かあるか?
A 介護されている方が、気持ちに余裕を持って対応していることが一番大切である。具体的には、少し後を付いて歩いていただくのが良い。殆どの場合、途中で、ご本人が道に迷われる。その時に、お声掛けしていただき、自宅に帰っていただくのがスムーズである。


Q 夜になると外に出ていこうとする。日中はディを利用している。何度も警察のお世話にもなっている。主治医の先生からは薬を替えても仕方がないと言われている。どうしたらよいか?
A 大変な介護をされていること、頭が下がる思いである。一緒に外出して付いて歩くのが一番安全とは思うが、無理な介護を続けて、周りが倒れては元も子も無い。ショートステイなども活用していただき、介護負担の軽減を計ってほしい。夜間の不眠などがある場合には、薬物治療が奏功する場合もあるので、不眠の治療について主治医の先生と相談していただきたい。


Q 徘徊の岡山県のデータはどうなっているか?
Q 全国のデータの数字で見るとたくさんの人が行方不明になっていると思ったが、岡山県のデータはどうか?都市と田舎でデータや発見率の違いはあるか?

A 平成 26 年の数値が公表されている。全国では 10,783 人の方(認知症または認知症が疑われる方)が行方不明になっている(警察への届出数)。65 歳以上の人口 10 万人当たりで見ると 32.7 人となる。岡山県では同年に 213 人の方(認知症または認知症が疑われる方)が行方不明になっている。65 歳以上の人口 10 万人当たりでは 39.4 人となるので、全国平均に近い数字である。都道府県でみると、65 歳以上の人口 10 万人当たりで数値が高いのは、大阪府(84.7 人)・兵庫県(82.7 人)・京都府(63.3 人)・富山県(62.2 人)・愛知県(51.7人)の順で、低いのは、東京都(8.4 人)・和歌山県(12.5 人)・千葉県(13.0 人)・青森県(13.8 人)・静岡県(14.1 人)の順となっている。都会か田舎か、というよりは、すぐに警察に届けるかどうかといった、地域ごとの対応方法の違いが影響している可能性がある。


Q 地域が見守るシステムがあるのか?(警察との連携など)
A 市区町村によっては、さまざまな対応システムが構築されている処も少なくない。具体的な内容は、地域ごとに異なっているため、各市区町村の地域包括支援センターにお問い合わせいただきたい。

講演4 認知症と軽犯罪

Q 万引きをしないようなサポート法はあるのか?
A 万引きの話をしましたが、アルツハイマー型認知症、前頭側頭葉認知症などで事情が違います。アルツハイマー型認知症は物忘れから始まります。アルツハイマー型認知症の人が万引をすることは少ないようです。お金を払ったかどうか忘れてしまい、持って出るというパターンでしょうか。前頭側頭葉認知症の方は脱抑制という前頭葉機能の低下によって規範意識起が低下します。まだ生活に障害のない軽度の時でもこれくらい大丈夫と安易に考えてしまい社会的には非常識な行動が起こります。やめてと言っても「ばれない」と言った人もいるくらいで、悪いこととは口では言えても、行動は自制できません。常に観察できないので、完全に防止する方法はありません。近所や店の人に事前に伝え、悪気はないのを伝えておくとよいでしょう。


Q 常同行動をやめさせることはできるか
A 前頭側頭型認知症でみられる症状です。常同行動を止めることは難しく、無理にやめさせるよりも、常同を利用して安定した生活をしていこうという治療法の工夫もあるくらいです。毎日同じところを歩き、同じところで休んで帰る。同じ店に行き、同じもを食べて帰るというパターンなら無理に止めることはないでしょう。自転車で遠くへ行くという人もいましたが、迷子になることはありません。徘徊と違い迷子にならないからそれで O.K.とする。常同行動を困ったことと考えない方がいいでしょう。


Q 認知症患者が念書や詫び状を請求されたときに断ることはできるのか?またその後、出したことによって不利になることはあるのか?
A 認知症の人が高いものを買ったり、詐欺にあったりすることもあります。それを防ぐために後見制度がある。財産を管理する後見人というのを決めておき、詐欺にあったときに返してもらったり、詐欺などに合わないようにすることはできます。


Q クレプトマニア(窃盗症)というものがある事をしったが、認知症の万引きと窃盗症の万引きを医師以外でも見分ける方法はあるのか?
A クレプトマニアの診断基準としては、『個人的に用いるためでもなく、またその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される』『窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり』『窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感』などの項目が掲げられています。盗るということでスリルを味わう。物を盗ることに意味はなく、脅迫的、切迫的、衝動性とその後の解放感でそれは認知症の窃盗とは全く別の概念です。
何らかのストレスが影響していることもあり、うつ病、認知症と鑑別が難しいこともあります。


Q 万引きする認知症の方を家族としてどう対応したらよいか。元々買い物が好きで毎日大型スーパーにフラット行く。一人で自転車で出かけるため、家族が気づかず出ていくことも多い。家族と一緒に行くように提案しても「一人で大丈夫」という。店にも伝えているが、それ以外の対応は?
A 警察沙汰にならないように事前に店に伝えておくことは必要でしょう。来ないでほしいと店の方からは言われるかもいれませんが、止めるのは難しいので、認知症の理解が広がるのを期待して今はできるだけ見守るしかありません。症状は進行によって変化します。国民総認知症サポーターになる日を期待しながら待ちましょう。


Q 認知症のふりをして犯罪を起こす人が出てくるのではないか?と心配になった。罪は罪としてきちんと償ってほし。被害を受ける人が泣き寝入りをするのはおかしい。
A 認知症の進んだ時期なら鑑別は可能です。しかし、前頭側頭型認知症の初期は、認知症であることが理解されないことが多く、万引行為などがあっても病気とは思われずに警察でも厳しく扱われることがあるようです。


Q アルコール性の認知症と、アルコール依存症との違いと関連があれば教えてほしい
A アルコール認知症の診断は難しいです。認知症があること、アルコール飲用歴が長く因果関係が証明できることが必要です。アルコール認知症になるにはアルコール依存症が先行して居る場合が殆どです。


Q 高齢者の万引きは生活苦やストレス解消等、精神的な要因もあると思うが、判断能力の低下した認知症(MCI 含む)の人の割合はどの程度か? 見つかった場合の罰則は?
A 事業所アンケートで万引は 50 件(認知症あり 28 件、認知症なし 22 件)という報告があります。認知症と診断されれば、責任能力なしと判断されますが、警察には通報されるでしょう。予め店の人と顔見知りになっておくとよいでしょうが、大型店の場合、顔見知りの関係になることは難しく、認知症の有無については、判断に迷う例も少なくないようです。


Q 本人が認知症と診断されていることを知らない場合はどう対応したらよいか?
A 認知症の告知は国によっても事情が異なるようです。イギリスでは自己決定の機会を得る権利から告知するのが望ましいとされているようですが、日本では曖昧、自然に任せることの方が多いように思います。早期発見、早期絶望にならないように認知症でも大丈夫という支援ができれば認知症であることを知らなくても毎日の生活はできると思います。初期の頃には何か変だと気がついているものです。さらに病気が進んで中等度になると、分からないことが分からなくなります。


Q 身内が捕まった場合、家族はどうしたらよいか?
A 前頭側頭型認知症の人が万引を繰り返すことがあり、複数回の犯行の後にやっと診断がついたということも多いようです。診断がつかずに罰金や懲役を受けることがありますが、本人は深刻に考えることができません。最近は認知症のことが知られてきたために、警察でも精神科の受診をすすめられることがあります。専門医で正しい診断を受け、弁護士さんに診断書を渡して交渉して戴きましょう。認知症という診断がつき、判断能力の低下があることが証明できれば、罪には問われません。しかし、いくら万引きしても罪なしという訳にもいかず、再発防止の工夫を示す必要があります。困るのでご本人を閉じ込めてしまおうと思わないようにしましょう。デイサービスを増やし施設での見守り、一人での行動を控える、近所の人の理解など支援の輪を広げて社会の理解を深める方向へ行くことが望ましいと思います。

その他

Q 小脳梗塞を二度発症し、その後認知症を発症。広く知られている脳梗塞の部分とは違うため、講演も少なく、もう少し具体的な対処法を知りたい。
A 小脳梗塞による認知症が存在しているかどうかは定かではありません。二度起こされた小脳梗塞とは別に認知症を発症されたのか小脳梗塞と同様に大脳にも梗塞巣があり、それにより認知症を発症されたのか、そのようなことを考えます。従って発症された認知症の詳細な診断を専門医にしていただくのが先決だと思います。


Q 昼寝は認知症を進行させるのか?あるいは進行を防ぐのか?どちらが正しいのか?
A はっきりしたデータはないと思います。


Q アルツハイマー型認知症と診断された父親(93 歳)は誰に対しても見境なしに話しかけるのだが、これは認知症の症状なのか?
A 元々の性格ということもありますし、認知症による脱抑制のためのこともあり、これまでの経過により判断できるかもしれません。


Q 明らかに認知症と思われるが、本人も家族もそれを認めず、病院での検査を勧めるが拒否する。親族だが、どう話をしていったらよいか?
A 機が熟するのを待ちましょう。


Q 施設がある病院など医師による治療と介護スタッフによる支援、計画を立てるケアマネの 3 部門の意見調整はどのようにしているのか?
A 会議を開いたり、文書でやり取りをしたりしているのではないかと思います。


Q 認知症の方に対する対応の仕方で、監視をしているつもりはないが、いつも見ていると監視ということになるのか?
A そうともいえるかもしれません。


Q アリセプトは服薬する時間によって、効果の違いがあるか?午前中、午後、眠る前などいろいろな時間帯で内服している人がいる。他の認知症の薬も服薬時間によって違いがあるか?
A 基本的にアリセプトは朝食後または昼食後に服用することをお勧めしています。アリセプトを寝る前に飲むと眠れなくなることがあります。飲む時間帯によって効果の差はおそらくないと思います。というのもアリセプトの血中半減期は 70 時間余りで、さらに脳内にその一部は留まるとされているからです。他の抗認知症薬についても飲む時間帯によって効果の差が出るという報告は知る限りありません。


Q 高齢者の場合、毎日多忙だと認知症になりやすいと思うがどうか?
A 毎日多忙という状態にもいろいろあると思います。その忙しさが適度に脳への刺激になるのであれば認知症の予防につながる可能性はあります。


Q 介護予防教室は公的な支援は受けることはできるか?
A 介護予防教室は市町村が行う事業の一つと認識しています。


Q 薬でよくなるのか?その副作用はあるのか?また薬を飲んだ場合、進行具合はどうなるのか?
A 一般に抗認知症薬による治療では認知機能の大幅な改善は見込めません。認知機能の維持や認知機能低下の進み方を緩やかにすることなどが期待されています。副作用については様々なものがありますので注意しながら服用されることが望まれます。


Q 認知症の方にどのように接したらよいか?
A ご本人のペースに合わせ、ご本人の尊厳を守りつつわかりやすい言葉で接してください。


Q70 歳の女性だが娘に認知症だといわれ買った商品をキャンセルさせられた。そのようなことはよいのか?
A 客観的にそのご家庭がどのような状況にあるのかわからないので確かなことは言えませんが、70 歳の女性にそれ相応の判断能力があるとするならばその娘さんの横暴ということになります。しかし、その 70 歳の女性が明らかな認知症で判断能力に乏しい状態であるならば、娘さんの行動を誰も咎めることはできないでしょう。


Q 入浴拒否はどの認知症でも起こりやすいのか?それとも特定の認知症でおこりやすいのか?
A どの認知症でも起こりうると思います。


Q 認知症を治す薬はいつごろできるか?
A 全くわかりません。


Q 現在、理解力・判断能力はあるが、記憶力が低下している。選挙時、投票者を決めていても実際の投票所で投票できるか疑問。認知症の方の投票意思はどのように尊重されるのか?
A 選挙においては認知症の方は一般の人と同様に扱われると思います。投票用紙に記載する際の認知機能について論じられているという話は聞いたことはありません。


Q 貼り薬以外では最新の認知症の薬はどのようなものがあるか?
A 2011 年以降新たに発売された抗認知症薬はありません。またこの先数年以上、新薬が出るという情報もありません

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