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第4回世界アルツハイマーデーin岡山(H27.9.30)

新オレンジプランについて・岡山市の取り組みについて

Q1 倉敷市の認知症対策は岡山市と比べて遅れているということはないのか?

それぞれ地理や人口、病院や介護サービスなどの条件などが違う中で、どちらが進んでいるとか遅れているということはないと思われます。どちらも協力しながらよりよい町づくりを進めています。

Q2. オレンジプランのオレンジとはどんな意味を持たせているのか?本腰を入れたプランの推進ができるのか?

「オレンジプラン」のオレンジは、国が進めているキャンペーンである「認知症サポーター」となった人が手首につけるオレンジ色のリングに由来するとのことです。

こちらはオレンジリングの色についての説明です。

『「柿色」をしたオレンジリングは、認知症サポーターの目印です。

江戸時代の陶工・酒井田柿右衛門が夕日に映える柿の実の色からインスピレーションを得て作り出した赤絵陶器は、ヨーロッパにも輸出され、世界的な名声を誇りますが、同じく”日本初”の「認知症サポーターキャラバン」のオレンジリングが世界のいたるところで「認知症サポーター」の証として認められればとの思いから作られました。なお、温かさを感じさせるこの色は、「手助けします」という意味をもつと言われています。(WAMNETより)』

「オレンジプラン」の推進ですが、市における重点施策と位置付け、関係機関と連携・協力しながら事業に取り組んでいます。

Q3. 少子化・高齢化で本当に地域で対応できるか?

難しい問題ですが、地域の状況を鑑みながらどうすれば、認知症の方や家族の方を支えていくことが出来るのかを、今後も考えてまいります。

Q4. オレンジプランのスライドにあったようなパンフレットはどこで入手できるか?

お近くの福祉事務所や地域包括支援センターなどに設置しています。

Q5. 基幹型・地域型認知症支援チームのそれぞれの役割は

地域型認知症支援チーム・・

地域包括支援センターにおき、認知症地域支援員を中心に認知症の人とその家族を初期の段階から支援しています。

基幹型認知症支援チーム・・

地域ケア総合推進センターにおき、認知症地域支援推進員を中心に専門職によるチームを編成しています。地域型認知症支援チームやケアマネジャーなどに対し、必要な情報提供や支援を行います。

Q6. 認知症支援チームのチーム員は具体的にどんな職種か?

医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、作業療法士、社会福祉士等

Q7. 認知症サポーターには優先的にバスの運転手やタクシー運転手等の人たちになってもらいたい(その人の人間性によるが)

ご意見ありがとうございます。市としても、様々な団体に働きかけて認知症サポーター養成講座を行っていきたいと考えています。

Q8. 認知症と疑われる人の問題行動を赤の他人が民生委員や市の担当者に報告しても大丈夫か?

問題ありません。他にも地域包括支援センターなどが相談窓口になっています。

周囲の方ができるだけ早く気づき、支援できる体制を作っていくことで、認知症の方がより長く、住み慣れた地域で暮らしていくことができると考えています。

Q9. キャラバン参加はどのようにしたらできるか?養成するためにどこで開催されているか?

団体や地域の集まりからの依頼で認知症サポーター養成講座を行っています。

また、回数は限られますが個人向けのものも行っており、詳細については 高齢者福祉課、地域ケア総合推進センター、地域包括支援センター などにお問い合わせください

Q10. キャラバンメイトの要請がH26年度36人では少ないのではないか?もっと頻回に開催できないか

岡山市においては平成19年度よりキャラバンメイトの養成を始めました。昨年度までで257人のキャラバンメイトを養成しています。

Q11. 認知症カフェはいつどこでしているか?また何人くらい利用しているか?もっと増やして欲しい。

現在行っているカフェ

鴻仁福祉会岡山市南区浦安本町

「おかやまおれんじカフェドレミ」連絡先086-265-2013

義風会岡山市北区立田

「おかやまおれんじカフェほっとりんく」連絡先086-287-8880

昭友会岡山市中区中島

「おかやまおれんじカフェぽかぽか」連絡先086-275-7280

各カフェ共に月に2回開催しています。毎回20から30名前後の方が参加されています。

開催日、開催場所については岡山市の広報やホームページをご覧ください。

Q12. 若年性認知症の人に対する市の施策を教えてほしい

平成27年1月27日に策定された新オレンジプランには、7本柱の一つとして「若年性認知症施策の強化」が挙げられています。若年性認知症対策は、必ずしも対象が多くないため、主には県の業務になっていますが、政令指定都市である岡山市もうまく連携していきたいと考えています。

若年性認知症は男性が多いため経済的・精神的負担が大きく、子の教育・親の介護と重なる時期であります。「どこに相談したらよいかわからない」ということのないよう、相談窓口の周知や社会資源の紹介、さらには介護家族の健康管理等、今後の課題であると考えています。

Q13. 若年性認知症の人に対する支援・サービスについて。実施場所や内容等少し具体的に教えてほしい

若年性認知症に関しましては、最寄りの保健所、保健センターにご相談ください。

岡山市保健所では、岡山市民の方を対象に、各保健センターで「こころの健康相談」を実施しています。主に医療に関する相談ですが、予約制となっておりますので、各保健センターにお電話にてお問い合わせください。

また、介護保険を申請されている方は、要介護度によってデイサービスやホームヘルプサービス等介護保険サービスを利用できる場合があります。また、障害福祉サービスの対象者についても同様で、居宅介護(ヘルプサービス)等の介護給付、就労移行支援や就労継続支援等といった訓練等給付等のサービスや、地域生活支援事業の移動支援、地域活動支援センター等の利用ができる場合があります。もよりの保健所、保健センターにお問い合わせください。

診断について

Q1. 一人暮らしの人が多く、家族がいない場合誰がどのようにみつけるのか?

 今までとは違った行動(例えば,収集日でない日にゴミを出すとか,約束を忘れて会合に出て来ないとか)で気付かれることが多いです. 

Q2. 「億劫」や「しんどい」といい掃除をしなくなったが、それはアルツハイマー型認知症か?

 アルツハイマー型認知症と断定することは出来ません.まずは,体調不良や身体の病気を考えるべきではないでしょうか.また,アルツハイマー型認知症の場合には,大部分の方で物忘れが非常に目立つので,その点を確認することも大切です.

 Q3. 認知症の中でアルツハイマーになる可能性はどの程度か?

 アルツハイマー型認知症は,認知症全体の5−7割程度を占めるとされています.

 Q4. 認知機能障害が1領域のみならばアルツハイマー型認知症と診断されないのか?

 アルツハイマー型認知症と診断されるためには,認知機能障害が2領域以上であることが必要です.ただし,アルツハイマー病であっても,軽度認知障害の段階であれば,認知機能障害が1領域のみの場合も少なくありません.

 Q5. アルツハイマー型認知症と他の認知症(脳血管性認知症など)を合併した人はいるか?その場合、どのように診断しているか?

 高齢になればなるほど,複数の疾患を合併している人が多くおられます.診断可能な場合もありますが,難しい場合も少なくないのが実状です.診断は,問診・心理検査・画像検査を活用します.稀に髄液検査なども行う場合もあります.

 Q6. タウ蛋白がたまる病気というが、たんぱく質の取りすぎは良くないのか?

 経口的なタンパク質摂取と,脳内でのタウ蛋白蓄積との間に,直接的な関連はありません.ただ,中年期の肥満は認知症の危険因子とされていますので,食べ過ぎには注意が必要です.

 Q7. 普通の物忘れと認知症と疑われる物忘れの違いは?

 出来事自体を完全に忘れるのは,危険な徴候とされています.例えば,旅行に行った先の細々した事を忘れるのは誰にでもあることですが,旅行に行ったこと自体を忘れるような場合には注意が必要です.

 Q8. 早期診断、早期治療と言うが、早期診断はどのようにされるのか?具体的内容を知りたい。

 まず,生活の状況を詳しく伺います.次に,詳しい物忘れの検査を実施します.さらに,画像検査(頭部MRIや脳血流SPECT)で診断の補助となる所見を確認します.複数回,受診していただくことが必要になります.

 Q9. MCIの鑑別診断はどこまでわかるのか?やはりMRIと問診(長谷川式)でグレーゾーンと分かるのか?

 MCIの原因疾患を診断することは,現時点では,難しい場合が多いと思います.MRI画像のみから病名を診断するのは,ほぼ不可能です.問診は非常に重要であり,簡単なテストは幾らか参考になると云った程度です.

Q10. CT、MRI、SPECTこのような検査でどの程度正確に診断できるのか?精神症状で起こっている状態との鑑別は難しい

 画像検査は,診断の補助として利用されます.診断の正確さについては,詳しい画像検査まで施行したとしても,8割から9割といった程度です.

 また,ご指摘の通り,精神疾患と認知症疾患は鑑別が難しい場合も少なくありません.

 Q11. アルツハイマー型認知症では早期に脳を直接検査する事はできるのか?

 「直接検査する」というのを,どういう意味で理解するかで回答は異なってきます.例えば,「脳組織を生検する」という意味であれば,理論的には可能ですが,アルツハイマー病の診断を目的として脳生検が行われることは,現実には,まずありません.「脳に蓄積した異常物質を画像検査で調べる」という意味であれば,一部の異常物質については,可能になりつつありますが,保健適応は未だありません.

 Q12. 診断時、本人にどう知らせているか?何を気をつけて伝えているか?

 どの段階で,どこまで伝えるかは,ご本人ご家族の状況を見ながら判断します.伝えたことで,精神的に不調になられることが無いよう,気を付けています.また,脳内の病気については,(少なくとも現時点では)完全な診断というのは困難なため,伝える場合でも,「○○の可能性が高い」という形でお伝えすることになります.

 Q13. 初期診断が大切だと思うが、一般開業医のDr.が診断できるのか心配。専門医への紹介が確実に行われるような対策は取られているのか?

 一般的な認知症疾患については,一般開業医の先生方が診断・治療されることに何の問題もありません.認知症に罹患した方を全例,専門医が診ることは物理的に不可能ですし,意味は少ないと思います.鑑別に悩む場合や,稀な疾患が疑われる場合には,各地域にある認知症疾患医療センターに紹介されることが多いと思います.(センターは,岡山県内に現在8カ所あります.)

 

 

治療について

Q1. 4つの薬の名前とそれぞれの効用と副作用について教えてもらいたい。

4つの薬の名前は、ドネペジル(商品名:アリセプト)、リバスチグミン(商品名:リバスタッチ、イクセロンパッチ)、ガランタミン(商品名:レミニール)、メマンチン(商品名:メマリー)です。いずれの薬も、主な効果は、記憶障害や見当識障害など認知症の症状の進行を遅らせることです。また、薬の効果を別の面から評価して、介護負担を減らしたり、医療や介護にかかる費用を減らしたりすることができるという報告もあります。副作用は、わずかでも可能性があるものを挙げればたくさんありますが、主なものとして、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンは食欲不振、むかつき、下痢などの消化器症状、メマンチンは頭痛やふらつきなどの症状が出ることがあります。

Q2. 大脳に溜まったβアミロイド、リン酸タウを溶かす(?)薬などはないのか?早く作って欲しい

残念ながら、今のところ、いったん脳にたまったβアミロイド、リン酸化タウを溶かす薬はありません。βアミロイドやリン酸化タウがたまらないようにする治療法について、世界中で研究が進められています。

Q3. 最初から二つ薬を飲む事はできるか?

最初から2つの薬を飲むことができないわけではありませんが、実際には2つの薬を同時に始めることはありません。いずれの薬も効果と副作用を確認しながら慎重に増やしていく必要があり、もし2つの薬を同時に始めて副作用が出た場合、どちらの薬によるものかわからず、2つとも中止することになるなど、調節が難しくなります。

Q4. 治療薬をやめた場合、急に悪化するか?

いろいろな場合があるので答えにくいのですが、薬を続けた人と止めた人の経過を比べると、続けた人の方が進行が遅いという報告があります。経験的には、止めても変化がわからない人もあれば、服薬が途切れて調子が悪くなり、再開することもあります。

Q5. 76歳の父が2年ほどアリセプトを服用している。特に問題ないが、物忘れがひどくなったように感じる。薬の効果が落ちたのか。対応を教えてほしい。

服薬していても、認知症は必ず進行します。その場合の薬の調節としては、一般的に、増量が可能であれば増量し、次に、2剤目の併用を試みることになります。

Q6. 認知症の進行を遅らせる薬を母は飲みながらも進行した。近い将来認知症が治る薬はできるのか

現在、世界中で、認知症の根本的治療薬・予防薬の開発研究が行われています。将来も、いったん発症した認知症を治してしまうことは難しそうですが、発症を予防したり、発症や発症後の進行を大幅に遅らせたりすることはできるようになると期待されています。ただし、残念ながら、それがいつになるのか、今の時点ではわかりません。

Q7. 独居の人の治療薬は飲み忘れや飲みすぎがあると思うが、それでも服用できる薬はあるのか?また飲んだ方がよいのか?

独居の人が、薬の飲み忘れや飲み過ぎの可能性があり、服薬の介助がないとすれば、服薬は困難です。服薬の効果が期待できる認知症であれば服薬した方が良いはずですが、まずは服薬の見守りや介助の体制を整える必要があります。

Q8. 予防について。食事は具体的にどのようなものがよいか?

いろいろな食べ物や飲み物が良いという報告があり、挙げればきりがないのですが、大雑把にまとめると、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病にならないような食生活が認知症予防にも有効であると言えます。ちなみに、認知症の治療や研究を専門とする公的機関や学会などが、特定の食べ物や飲み物を推奨しているという例はありません。

Q9. 認知症と睡眠の予防効果について教えてほしい。

認知症と睡眠との関係に関しては多くの報告があります。例えば、30分以内の昼寝の習慣がある人は認知症の発症が少ないのに対して、昼寝の時間が2時間以上の人は認知症の発症が多いという報告があります。

BPSDについて

Q1. BPSDの治療は具体的にはどのような事をするのか?環境が変わると進行する事もあると聞くが、本当だろうか?怒る事が多いと進行すると聞くが、本当か?

 認知症には基本症状(記憶する力だけではなく、生活をするのに必要な認知の障害、たとえば時間や場所が分からなくなる。漢字を忘れる。銀行のカードが使えなくなる。リモコンが使えないなど)と、基本症状があることで二次的に起こってくる周辺症状としての行動・心理症状(BPSD)があります。認知症の初期の頃にはいろいろとできなくなる自分を自覚して困惑しています。そんな時に、できないことを指摘したり、学習させようとしたり、口うるさく言われていると、何とか自分の存在を取り戻そうと頑張る姿がBPSDとして表現されるのです。環境が変わると認知症が進行するのではなく、新しい環境に適応する力がなくなっているだけです。怒ることが多いと進行するのではなく、怒りは自分に向かってくる相手へ懸命に反応している姿です。嫌なことはしない、命令しない、叱らない、刺激しないを心がけましょう。

Q2. 毎日言う事が違うことにとても戸惑っているので、喧嘩が度々生じる。しかし話しかけるといつも機嫌が良くなるので良いが、どう対応すればよいか?言い出したらゆっくり話をしても聞く耳を持たない。

 毎日言うことが違って当たり前。驚くことはありません。あきらめずに、受け入れてみましょう。話しかけると機嫌がよいのは、思いが通じているからでしょう。自分の居場所があり、自分が認められていると感じるのは気持ちがいいものです。プライドは残っています。何とか自分のことをわかってもらいたいのです。すべてOKにして上げれば、安心してもらえるのではないでしょうか。

Q3. 自分に認知症の知識はなく、初期の母の問題行動を叱ってばかりおり、結果的に認知症にさせた気がする。認知症の人が怒りだしたらどう対処したらよいか?

 「叱ってばかり」は家族としては仕方がない行為です。認知症にさせたということはありません。認知症は必ず進行するものです。怒り出すのは、理由があります。相手の気持ちを考えて、ありのままを受け入れると、こちらも腹が立たなくなります。すると、認知症の人も落ち着きます。

 「人生で起こることはすべて良きこと」と考えることができると、認知症が不運と考えるのは間違いと気づきます。人生は不幸と思うことの中に幸せを見つけることができるかどうかが問われているのです。

Q4. 理不尽な暴力行為に対してこちらはどのように思えば気持ちが楽になるか?

理不尽な暴力などありません。理由を考えることから始めましょう。きっと理由が見つかります。認知症の人の気持ちになって考えて見ましょう。いろんなことができない。上手く行かない。叱られる。変な目で見られる。言葉にしたくてもできない。そんな時、お風呂に入りなさいと無理矢理服を脱がされたら、暴力でしか自己表現できないのではないでしょうか。勘違いさせてごめんね、気がつかせてくれてありがとうと思いましょう。

Q5. 両親は施設で同室で暮らしている。認知症の父親は母親がいないと不安で探しまわり、夜間不眠になる。母親は自身の事がやっとできる状態で父親の世話をする事がとても負担で一緒にいる事が嫌でたまらない。母の怒りが爆発すると軽い暴言・暴力がでるが両親を離した方がよいのか?

 お父さんはお母さんが頼りです。お母さんを休ませてあげるには、部屋を分けた方がよさそうです。お母さんも一人になると余裕が出るのではないでしょうか。

Q6. 骨折等で入院した際、認知症の人はせん妄を含め、BPSDが出た場合、看護師はどこまで対応できるか、家族の付き添いはどこまで必要か?

 骨折で整形外科に入院するとせん妄になることは珍しくありません。手術後の安静が保てず、痛みがわからないで歩こうとします。昼間にしっかり起きて、夜には眠るという当たり前のリズムが大切です。朝になったら、日光に当たり、昼寝をしないで日中を過ごすことができれば、せん妄は改善してきます。せん妄予防の薬もあるので、処方してもらいましょう。何日かすればよくなると思って待ちましょう。BPSDには慌てず、笑顔で接してください。優しさには優しさで応えてくれます。

Q7. 家族に対しての記憶が一緒に暮らしている時と離れて暮らしている時で違うのか?

 認知症の人は近い記憶から消えていきます。人の顔がわからなくなるのは認知症が進んで高度になってからです。同居していると、毎日顔を見ているので忘れませんが、遠くに離れて暮らしていると顔を忘れたり、孫を子供と勘違いしたりします。

Q8. 認知症の人が聞くと不安になる言葉があるのか?

 聞くといやな言葉は誰でも同じです。プライドを傷つけない優しい言葉と笑顔が大切です。普段から比べない、ひがまない生き方を心がけましょう。

Q9. 日により違いがあり、波があるように感じる。それはなぜか?

 誰でも波があって当たり前です。個人差もあります。せん妄状態は日内変動があり、午後から怒りっぽくなるなど、突然変化することがあります。あるがまま、なるようになる。ケセラセラですね。

Q10. 自宅や施設においてBPSDを引き起こすような環境はどんなものがあるか?また施設から帰るとBPSDはおさまるのか?

 怒る、暴力、介護抵抗、拒絶などは自由を束縛する相手への認知症の人の言葉にならない意思表示です。自由を認めて上げましょう。施設によってはBPSDが目立たなくなることもあります。認知症の人への接し方が重要になります。認知症のレベルによっても接し方は異なります。寄り添い方はユマニチュードやバリデーションという接し方がヒントになります。明るく、笑顔で接しましょう。

Q11. ユマニチュード、バリテーションについてもう少し詳しく知りたい

 認知症の人への接し方で、コミュニケーションの道具と言われます。ユマニチュードは、見る、話しかける、触れる、立つという4つの方法が中心です。認知症の人の正面で、目の高さを同じにして、近い距離から長い時間見つめます。まっすぐに見つめ合うことで、お互いの存在を確認することができます。優しい言葉を使って、繰り返し話しかけます。認知症の人の体に触れて、スキンシップをはかります。立ってもらうと視界が広くなり、頭に入る情報量が増えます。バリデーションはもう少し専門的に教える機関があります。たくさん本も出ています。認知症の人を受け入れ、コミュニケーションを取ることができます。

バリデーションの説明

バリデーションは、アメリカのソーシャルワーカー、ナオミ・フェイルによって確立された、認知症、特にアルツハイマー患者(以下高齢者)に対してのコミュニケーション方法です。高齢者の経験をバリデート(強化)するということは、本人が経験していることを否定しないで、それが本人にとっての「現実(真実)」であることを受け入れ、認めることです。高齢者が感じている感情や感覚を尊重し、感情・感覚レベルで応えることを大切にすることがバリデーションの中心となります。たとえ高齢者が混乱していたり、妄想的になっていたとしても、人全体を理解しようとするものです。高齢者の経験がバリデートされれば、生きているという感覚が生まれ、私たち(ケアする者)を身近に感じるようになります。バリデーションは認知症患者(特にアルツハイマー型)に対して以下の仮説のもとに行なわれています。人生において段階があり、それぞれの段階で解決しなければならない課題があり、それを解決しないまま人生を終えなえればならないことがあります。そのような高齢者は4つの解決ステージを迎えます。

  1. 認知の混乱
  2. 日時・季節の混乱
  3. 繰り返し動作
  4. 植物状態である。

バリデーションはその段階ごとにバリデートする14のテクニックがあります。

バリデーションには、

  1. ケアするもの自身が喜びを得る
  2. 尊厳、平等という人として大切なことを学べる
  3. ケアするものとしての洞察力の向上
  4. ケアするもの自身もうまく年を重ねることの示唆を得る
  5. 問題老人のレッテルを貼らなくなる
  6. すぐ向精神病薬に頼るということが減る

などの効果があります。

Q12. 最後の「ありがとうの法則」をもう一度見たい

人間は死にいたる病気さえ感謝する心境になれる。病気のおかげで、普通だったら出会えない多くのやさしさに接することができる。ことに気がつくかどうか。(小林正観)

身内に認知症と疑われる人がいたらどうするか

Q1. アルツハイマー型認知症について自身の理解不足で義母が幻覚症状として「背中の赤ん坊を下ろしたい」と訴えていた。幻覚ではないかと思ったが、アルツハイマー型認知症の症状かどうか家族が自覚しておらず、したがって「おんぶしている赤ちゃんを下ろして」と訴えられても本人が納得できる対応ができなかった。どう対処すべきだったか知りたい。

認知症対応もそうですが、人間関係の基本は相手の言われることを否定しないことです。背中の赤ん坊を下ろしたいとおっしゃる義母様に何か異変が起こっているのだろうと想像するのはそう難しいことではないと思いますし、そう義母様が感じておられることを認めつつ、何が義母様に起こっているのか和やかな会話の中で探っていけたらよかったかも知れません。そこで病気じゃないかと分かれば、どこか相談や受診が出来たかも知れませんね。

Q2. かかりつけの先生に理解がない時は介護職の立場から専門医の紹介はできるのか?

専門医受診はどなたが勧めて頂いても構わないと思います。その後のかかりつけ医の先生への連絡は専門医がされることと思います。

Q3. 近くの内科に行くと年相応と言われた。専門病院に行き、ずっと見てもらえるか?

もし、その方が認知症であるならば、専門医がフォローさせていただくかも知れませんし、どこかご近所のクリニックなど紹介させて頂くことになるかも知れません。何れにしても、突き放すような医療をする専門医はいないと思っています。

Q4. 本人にはプライドがあり、受診を拒否する場合、家族はどのような方法で病院受診につなげたらよいか。また頑固な男性を悟られずにアルツハイマーの診断を受けさせるにはどうしたら良いか?

例えば、何か病院受診につながるような症状などを見つけて、あるいは健診という名目でもよろしいので、病院受診のきっかけを見つけて下さい。受診する病院には事前に相談しておいて、診断ができるように手配を予めして貰っておくと、スムースにことが運ぶ可能性が高くなります。

Q5. 今までは一人家において出かけてかなり長時間放っておく事も出来たが、本人は不安になっているのか?(家に自身が一日いてもそれほど変わりが無いように感じる。家にいると頼りにしてしまい、自分で動こうとしない。)

その方の状態や性格にもよりますが、高齢者の孤独は大きな問題だと思っています。なるべく、デイサービスなど利用を考えて頂きたいと思います。

Q6. 病院で「年のせいだから仕方がない」と言われた。最初から専門医にいった様がよいのか?

物忘れなど認知症をご心配の症状があり、一般科でそのように言われてもなおかつご心配でしたら、専門医を受診されていいと思います。

Q7. 実母が認知症と言われ薬を服用している。家族の対応の仕方が分からず困惑している。毎日一緒にいる父親のストレスも心配

具体的なことは担当の医師やそこのスタッフにお聞きになられたらいいと思いますが、一般論で申し上げますと、対応の基本について一言で言うのは難しいので、図書館や本屋さんに行ってわかりやすそうな本を借りたり買ったりして読んでみて下さい。そして、そこでわからないことは、包括支援センターや認知症疾患医療センター、あるいは認知症コールセンターなど相談できるところに相談してみて下さい。

その他

Q1. 家族は認知ではないかと思い受診したが、特に異常なしと言われた。しかし家族は大変困っている。どうしたら良いか?他の検査の異常はなかった。

岡山市では月一回物忘れ相談会を実施しております。物忘れ相談会にお越しください。

Q2. 認知症の方の財産保護はどうしているか?

成年後見制度がありますので、包括支援センターなどにご相談ください。

Q3. 以前はよく歩いていたが、歩こうという意欲がなくなり、歩かなくなった。歩く意欲が無くなる事も認知症の病状の一つと言われるが本当か?

その通りです。

Q4. 認知症の方の看取りについて。認知症の方の自分の意思(尊厳死と遺言)はどこまでどの状況までに伝えればよいのか

認知症になる前であれば、問題ないと思います。認知症の初期となると必ずしもすべて認められる事は無いかもしれませんが、ケースバイケースと考えます。

Q5. 生きがい作りの取り組みが始まったが、ワークシェアリング等をすることでリタイアした後、仕事から離れるのではなく、意欲がある人には引き続いて活躍してもらう。それによって眠っている人材を活用する事と、同時進行で推進したら良かったのではないか?

おっしゃる通りだと思います

Q6. アルコール依存症と認知症が疑われる場合の受診すべき病院を知りたい。

アルコールの問題と認知症の問題、いずれも見てもらえる精神科病院に尋ねてみましょう。

Q7. テレビで良いと言われる歩きながらの計算やしりとりなどしているが効果があるか?

国立長寿医療センターでは効果があると述べておられると思います。確かなエビデンスはないと思います。

 
 

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